【JVCケンウッド】巧みなM&Aで長期低迷からの浮上を目指す

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巧みな売買でM&Aによる成長を目指す

直近も非自動車関連事業を手掛ける子会社の売却があった。2021年4月1日、JVCケンウッドは通信指令・管理システム機器などの開発、生産を手がける米Zetron,Inc.の全株式を、豪通信関連サービス企業のCodan Limitedに約49億8000万円で譲渡すると発表した。

JVCケンウッドは2007年に約80億円でZetronを買収し、自社の無線端末と同社の官公庁や空港で無線回線を効率的に運用できるシステムを組み合わせてトータルシステムとして提供してきた。しかし、こうした通信システムの更新需要は浮き沈みが激しく平準化できない上に、2020年からはコロナ禍の影響で空港の設備投資が激減するなど厳しい状況が続いていたため売却に踏み切ったという。

2020年3月期のJVCケンウッドの売上構成は、オートモーティブ分野が51.4%と半分以上を占めた。悲惨な事故死を引き起こし社会問題になった「あおり運転」の多発でドライブレコーダーの出荷台数が2017年度から3年間で約1.8倍も増え、国内シェアではトップクラスに。JVCケンウッドの主力事業である自動車関連事業のM&Aは、これからも続くだろう。

販売が好調なドライブレコーダー(同社ホームページより)

一時は業績の大ブレーキとなったコロナ禍でも「追い風」があった。外出自粛に伴う「巣ごもり需要」で2020年春以降、ステレオ機器の出荷台数が2~3倍に増えたという。

JVCケンウッドの前身となるトリオは、山水電気やパイオニアと並ぶ音響機器の「御三家」だった。しかし、山水は2014年に経営破綻し、パイオニアも2015年に音響事業から撤退している。残存者利益で成長が見込めれば、音楽関連機器事業での買収も考えられそうだ。

2021年3月期第3四半期決算の営業利益は前年同期比5.3倍の約54億1000万円と急回復し、同第4四半期も好調を持続する見通しだ。業績の回復を受けて、JVCケンウッドが2022年3月期にもM&Aを積極的に仕掛ける可能性が高い。

その時々の事業ポートフォリオに合わせて、「売り」と「買い」を巧みに使い分けてきたJVCケンウッド。これから同社が何を目指し、どこへ進んで行くのかは、これからのM&A戦略を見ていけば確実に分かるだろう。

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