【JVCケンウッド】巧みなM&Aで長期低迷からの浮上を目指す

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当期赤字を受けて「選択と集中」のM&Aへ

その翌年、2012年12月に発表したM&Aは、オートモーティブ(自動車)事業の拡大を狙ったものだった。 東京特殊電線<5807>の医療用画像表示機器などを手掛ける情報機器事業(売上高57億6000万円)と、同社子会社でディスプレー製造で培った基板設計・加工技術を応用した自動車用基板加工などの製造請負(EMS)事業を展開する東特長岡(新潟県長岡市)の全株式を7億5900万円で譲り受けたのだ。

2013年9月中間連結決算で51億1300万円の当期赤字に転落したのを受けて、2014年1月には「選択と集中」のための売買が交錯する。JVCケンウッドの100%連結子会社で携帯電話販売代理業務を手掛けるケンウッド・ジオビット(売上高136億円)の全株式を、約32億円で家電量販店のノジマ<7419>へ譲渡すると発表した。

携帯電話販売事業はハード面での差別化が困難になっており、販売店舗での提案力・販売力といったソフト面での優劣が今後の市場競争を左右している。JVCケンウッドは携帯電話販売事業から撤退してコア事業への集中を一段と進め、業績の回復を急ぐことにした。

その一方で同月には、業務用無線システムの開発会社である米EF Johnson Technologies,Inc(EFJT、連結売上高51億6000万円)を約66億1000万円で完全子会社化すると発表した。この買収により、同社が手掛けていない米デジタル無線規格の「APCO-P25規格」に対応したマルチバンド端末やインフラシステムを手に入れる。同規格のデジタル無線をトータルシステムとして提供することが可能になったのだ。

ケンウッドブランドで展開する無線機事業で、EFJTグループの主要顧客である米連邦政府や州政府機関などへの販路拡大に期待した。加えて同規格の業務用デジタル無線システムはアジアや中南米の新興国への普及が予想されることから、世界規模での事業展開も狙っている。

ケンウッドブランドで生産する無線機でもM&Aを展開(同社ホームページより)

2014年5月にはJVCケンウッドの米販売子会社JVC Americas Corp.傘下でCD/DVDディスク製造・販売を手掛けるJVC America, Inc.(売上高51億5000万円)を、同業のCD/DVD/ブルーレイディスク製造・販売のカナダCinram Group Inc.に売却すると発表した。

世界的にインターネット回線が高速大容量化し、音楽や映像コンテンツのダウンロードやストリーミングが普及したことにより、CDやDVDなどのソフトパッケージ市場が縮小している流れに対応したものだ。

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