2019年12月、国内経済界に「激震」が走った。昭和電工<4004>が日立グループの「御三家」の一つである日立化成<4217>TOB株式公開買い付け)で買収すると発表したのだ。昭和電工は売上高や利益では日立化成を上回るが、発表時点での時価総額や従業員数でみれば同社の半分ほど。「小が大を飲む買収だ」と驚かれたのも無理はない。

ノンリコースローンで財務リスクを避けた

日立化成の親会社である日立製作所<6501>は、このTOBに賛同している。現在は各国で独占禁止法の審査を受けている段階で、2020年2月頃にTOBを開始する見通しだ。昭和電工は今春に日立化成の全株取得を目指す。

買収額は約9640億円で、さすがに1兆円近い買収となると資金調達でも工夫が必要だった。日立化成買収のために設立する特別目的会社(SPC)のHCホールディングス(HCHD)に、みずほ銀行がノンリコースローンで4000億円を融資。さらに同行と日本政策投資銀行が2750億円の優先株でHCHDに出資する。

一方、買収主体となる昭和電工は、HCHDに普通株で2950億円を出資する。その他の資金調達が日立化成の返済能力の範囲内で債務を負うノンリコースローンと金融機関からの出資であることから、昭和電工の実質的な負担はこの2950億円だけとなる。

が、2950億円といえども、同社で過去最高を記録した2018年12月期決算営業利益(1800億円)の約1.6倍に当たる巨額資金であり、みずほ銀行からの融資で賄う。

そもそも買収金額が高い。日立化成の発表日における時価総額約4521億円の2倍以上、2019年3月期末の純資産約3718億円の約2.6倍となる。なぜ、ここまで買収価格が跳ね上がったのか?一つは「親子上場」の解消に伴って子会社の株価が上昇する傾向にあることだ。

トヨタ自動車<7203>系列のトヨタホームによるミサワホームの完全子会社化や凸版印刷<7911>による図書印刷の完全子会社化に伴う上場廃止が発表されると、両子会社の株は急騰。「親子上場解消銘柄は買い」との流れができた。