酒類販売大手のカクヤスが10月1日に持ち株会社に移行し、「カクヤスグループ」として新たにスタートした。市場環境の変化に即応できる経営体制の構築を狙いとし、M&Aの取り組みも加速する方針だ。

ただ、足元は新型コロナウイルスの影響下、飲食店向けを中心に売上高の7割を占める業務用販売が苦戦を強いられている。持ち株会社による新経営体制のもとで、局面転回をどう目指すのか。

コロナ下、売上高1000億円割れが必至

カクヤスグループは2019年12月に東証2部に株式上場を果たした。こうした上げ潮ムードを打ち消したのが新型コロナだ。

上場後の実質初年度である2021年3月期業績は売上高が1000億円(2020年3月期1085億円)の大台を割り込み、営業損益も赤字転落(同12億円の黒字)が避けられない情勢にある。

10月7日発表した月次報告によると、2020年4~9月(上期)の売上高は大黒柱の業務用が前年同期比48%と半減した。家庭用が2割以上伸び、業務用の落ち込みを一部カバーしたものの、合計では前年同期の70%にとどまる。

業務用売上は緊急事態宣言が出た4月を大底(前年同月比15%)に、徐々に回復に向かい、直近9月は68%まで持ち直している。家庭用は一時の勢いはないものの、9月も同101%と増勢を維持している。

◎カクヤスグループの業績推移(単位億円、△赤字) ※21/3期は第1四半期

  19/3期 20/3期 21/3期(4~6月)
売上高 1087 1085 167
営業利益 17.7 12.5 △11.1
最終利益 7.45 5.13 △5.38

上場後初のM&A、「カクヤスモデル」地方展開の第一歩

コロナの逆風下、カクヤスが上場後初となるM&Aを実行したのは5月のことだ。福岡県を地盤とする業務用酒販のサンノー(福岡市)の全株式を取得し、子会社化した。取得金額は6億4000万円。カクヤスにとって、地方進出の第一歩というエポックだった。

傘下入りしたサンノーは2005年に設立し、ホテルや飲食店、ゴルフ場、催事など業務用の酒類販売を主力とする。福岡市内の繁華街・中洲では業務用酒類小売店「リカーズABC」を運営する。売上規模は21億7300万円(2019年2月期)。

その名も「カクヤスモデル」。各店舗の商圏を半径1.2キロメートルと設定し、最短1時間枠で「ビール1本から」「365日」「どこでも」「無料配達」を実現している。区域内の配達密度を高めることで、カクヤスならではサービスを可能にした。

ピンクの看板でおなじみの「なんでも酒や カクヤス」は首都圏(東京都、神奈川県)と大阪府内で170拠点に及ぶが、そのうちの140店舗以上が東京23区に集中する。各店舗は店頭販売や自宅への無料配達にとどまらない。居酒屋など業務用の配達も行い、業務用センターからの出荷機能を補完する役割を併せ持つ。

昨年12月の株式上場を機に、経営テーマに掲げたのが「カクヤスモデル」の地方展開。その第一弾がサンノーの子会社化を足がかりとする九州上陸だったのだ。