「穀物ソリューション・カンパニー」を標ぼうする昭和産業。小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を原料に、小麦粉やプレミックス(調整粉)、植物油、糖質製品、配合飼料などに加工しており、各分野で大手の一角を占める。その同社が「コロナ」下、M&Aを加速している。

150億円でサンエイ糖化を買収

昭和産業は10月1日に、三井物産傘下のサンエイ糖化(愛知県知多市)の全株式を取得し、子会社化する。取得金額は150億7500万円で、同社が手がけるM&Aとして過去最大となる。糖質事業では鹿島工場(茨城県神栖市)と子会社の敷島スターチ(三重県鈴鹿市)の東西2製造拠点を持つが、サンエイ糖化をグループに迎え、国内での供給体制を強化する。

サンエイ糖化はブドウ糖を主力に、デキストリン(加工でん粉)、異性化糖液、水あめ、乳酸菌、オリゴ糖酸などを手がける。1966年に医薬品や試薬に使われる「日本薬局方ブドウ糖」を業界で初めて国産化したことで知られる。直近業績は売上高146億円、営業利益8億7400万円で、純資産は113億円。

昭和産業はサンエイ糖化を取り込むことで、糖質事業の売上高は500億円規模(2020年3月期は346億円)に拡大し、飼料事業(同526億円)に迫る。

製粉事業と並ぶ経営の両輪である油脂食品事業では7月に、米油大手で東証2部上場のボーソー油脂をTOB株式公開買い付け)で子会社化した。買付代金は約16億円。ボーソー油脂は9月25日に上場廃止となる。

ボーソー油脂が主力とする米油は従来、ポテトチップスや煎餅、かりんとうなどの揚げ油として業務用が中心だったが、近年は消費者の健康志向の高まりを背景に家庭用に需要が膨らみ、スーパーマーケットなどで定番商品になっている。

しかし、大手食用油メーカーの家庭用米油への攻勢が激しさを増す中、ボーソー油脂は業績が悪化していた。2020年3月期業績は売上高123億円、最終赤字2億円。4年連続の減収で、赤字は3年連続だった。食用油大手の昭和産業のもとで、収益改善と事業基盤の再構築を目指す。

中計初年度、M&Aを集中

昭和産業は今春スタートした中期3カ年経営計画で、最終年度の2023年3月期に売上高2800億円(20年3月期は2540億円)、経常利益130億円(同101億円)、ROE(株主資本利益率)9%以上(同8%)を目標に掲げる。

3カ年累計の営業キャッシュフロー520億円を前提に、成長投資220億円、設備投資240億円、ほかに自己株式取得による株主還元などを予定する。このうち成長投資に盛り込まれているのがM&A関連。中計初年度に早速、その大部分をM&Aに充当した形だ。

実は、M&Aに取り組むのは2年ぶり。2018年に、カルビー傘下で、セブン‐イレブン・ジャパン向けにオリジナルパンを製造するガーデンベーカリー(東京都昭島市)を子会社化して以来だった。

◎昭和産業の業績推移(21/3期予想は8月時点)

  20/3期実績 21/3期予想 23/3期目標
売上高 2540億円2560億円2800億円
経常利益 115億円92億円130億円
ROE 8.00% -9.00%