新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う買い占めで、店頭から姿を消したトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの家庭紙国内最大手・大王製紙<3880>が、M&Aに本腰を入れている。同社は長らくM&Aとは一線を画してきた。ところが2017年2月に日清紡ホールディングス(HD)<3105>の家庭紙事業を買収して以来、立て続けに5件のM&Aが成立している。大王製紙はM&Aで何を目指しているのか?

戦時統制下の企業合同で誕生

大王製紙は愛媛県宇摩郡三島村(現・四国中央市)出身の井川伊勢吉氏が1941年に設立した四国紙業が前身だ。設立直後に日本経済は太平洋戦争に伴う戦時統制に入り、1942年に商工省の「製紙工業企業整備要綱」に基づき、同社をはじめ14社が企業合同し1943年に和紙メーカーとして再スタートを切る。1947年からは洋紙の製造も始めた。

大王製紙の最初の経営危機は1962年。紙不況と原料高に見舞われ、積極経営による無理な設備投資とのダブルパンチで支払手形が不渡りとなり会社更生法の適用を申請する。1964年に更生がスタートするが、多くの従業員が私財を持ち寄り、再建を支援。業績も急回復し、1年余りで更生手続を完了した。

1979年にはティッシュペーパー「エリエール」の製造・販売に乗り出し、家庭紙分野に参入する。すでに山陽国策パルプ(現・日本製紙<3863>)の「スコッティ」や十條製紙(同)の「クリネックス」、王子ホールディングス(HD)<3861>の「ネピア」などのブランドが存在していた。

大王製紙は後発組だったにもかかわらず「エリエール」は大ヒット。先発ブランドを次々と追い抜き、7年後の1986年にはシェアトップとなった。大王製紙は売上高では王子HD、日本製紙、レンゴー<3941>に次ぐ国内4位の製紙メーカーだが、ティッシュペーパーをはじめとする家庭紙では国内首位のポジションにある。

国内トップシェアの「エリエール」シリーズ(同社ホームページより)