なぜ、日本企業が東南アジアでのM&Aに注目しているのか。最も大きいのは日本の国内事情だ。日本経済の長期低迷が避けられなくなり、新たな成長市場を開拓する必要がある。日本企業の東南アジアへの進出は1970年代から始まっていたが、当時は低賃金労働力を活用した生産拠点のシフトが主な狙いだった。
しかし、近年のM&Aのほとんどは「労働力」ではなく「マーケット」の確保を狙っている。つまり、かつては東南アジアで「労働者」を集めていたのに対し、現在は「顧客」を取り込もうとしているのである...
中国企業のM&A戦略を紹介するシリーズ。今回は、フランスのマルチメディア・家電企業のトムソン(現テクニカラー)のテレビ事業を買収した「TCL集団」を取り上げる。