中国企業のM&A戦略を紹介するシリーズ。今回は、比亜迪(BYD)グループを取り上げる。2010年、比亜迪グループ傘下の比亜迪自動車は、日本の金型大手、オギハラの工場を買収した。買収価格は公表されていない。

比亜迪グループは、広東省深圳市に本社を置く企業であり、IT部品と自動車の二大事業を展開している。最近では、太陽エネルギー事業にも参入している。先に公表されたところによると、グループ全体の2017年の純利益は約685億円(40.57億元) となり、前年同期比で19.70%減少している。中国政府によるEV自動車などのエコカーに対する補助金の減額が影響を与えたとみられている。

EV車の販売大手、比亜迪自動車

比亜迪グループは、IT部品分野においては、携帯電話用リチウムイオン電池の製造で世界大手であり、電池事業のノウハウを生かして、自動車事業にも参入を果たした。グループ傘下の比亜迪自動車は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などのエコカーの総称である「新エネルギー車(新エネ車)」の販売で中国首位の自動車メーカーである。

ウォーレン・バフェットも投資

2008年、自動車業界に参入したばかりの比亜迪に出資したのは、アメリカの著名投資家であるウォーレン・バフェット氏であった。バークシャー・ハザウェイを通じ、香港市場の比亜迪株の9.9%を取得した。これにより、一時は株価が跳ね上がり、比亜迪は一気に有名になった。

ウォーレン・バフェット氏は現在に至るまで約9%の持分を保持している。2017年9月頃、比亜迪株は急上昇し、2018年2月に至るまで、高い水準で推移している。

創業者の王伝福氏は、どんな人物か

比亜迪グループは中国の大企業では珍しく、純粋な民間企業である。比亜迪グループの創業者であり、経営トップの王伝福氏は、中国・安徽省の農家に生まれ、貧しい育ちながら、大富豪となった人物である。

アメリカ経済誌フォーブス(中国版)のランキングによると、2009年、中国大陸出身者の富豪ランキングにおいて王伝福氏は首位を獲得している。

自動車用金型部品メーカーのオギハラ

オギハラは、1951年に鉄工所からスタートし、自動車の金型部品のサプライヤーとして成長を遂げた企業である。しかし、2009年、世界的な金融危機で受注が急減したのをきっかけに、タイの自動車部品大手、サミットの傘下に入ることになる。

2010年、サミットの方針により、群馬県館林市にある館林工場が比亜迪自動車に買収されることになった。比亜迪自動車側としては、日本で生産された高品質の金型を自社の生産ラインに投入することができる、というメリットがあった。

EVと自動車業界の今後

商用EVでアメリカ市場に浸透している比亜迪自動車は、スタンフォード大やロサンゼルス市で既にEVバスが採用されている。2018年1月、アメリカ市場において、同社のEVバスは、2017年の出荷台数の約8倍にあたる600台以上の受注があると公表されている。

比亜迪自動車のEVバスは、実は既に日本でも採用されている。京都を走るプリンセスラインは2015年、比亜迪自動車のEVバス5台の運行を開始した。

EVバスをはじめとするEVの広まりと自動車業界の動向とともに、今後も比亜迪グループの戦略に注目していきたい。

文:M&A Online編集部