海外M&Aに「案件ありき」で臨んでいないか。契約署名で安堵していないか。トップ自ら哲学を語っているか…。

海外M&Aの成否を左右するのは経営トップの力量

経済産業省は国内企業による海外M&Aの増加を受け、経営者目線から9項目の“心得”をまとめた。海外M&Aを自社の成長に有効活用している企業の多くは、経営トップ自らが海外M&Aの本質を理解し、リーダーシップを発揮しているとし、重要なポイントを事例とともに抽出した。

海外M&Aは日本企業のグローバル化の進展に伴い、活発化の一途をたどっているが、日本企業同士の国内M&Aや現地法人設立による海外進出に比べ、制度・言語・文化面の違いなどから難度が高く、期待された成果があがっていないケースが少なくない。そこで経産省は2017年8月に宮島英昭早稲田大学教授を座長とする「我が国企業による海外M&A研究会」を設け、日本企業が抱える課題やその克服のための取り組みについて議論を重ねてきた。研究会の報告書のエッセンスを「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」として簡潔にまとめた。いわば、海外における“心得”だ。

M&Aの準備、実行、PMI(ポスト・マネージャー・インテグレーション=M&A後の統合マネジメント)、ポストPMIの各段階に分け、事例を交え、経営トップの“心得”を提示している。

経産省がまとめた海外M&Aで留意すべき「9つの行動」
行動1 「目指すべき姿」と実現ストーリーの明確化
行動2 「成長戦略・ストーリー」の共有・浸透
行動3 入念な準備に「時間をかける」
行動4 買収ありきでない成長のための判断
行動5 統合に向け買収成立から直ちに行動に着手
行動6 買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」)
行動7 自社の強み・哲学を伝える努力
行動8 海外M&Aによる自己変革とグローバル経営力
行動9 過去の経験の蓄積により「海外M&A巧者」へ

以下、そのさわりの部分を紹介する。