2019年上期(1-6月)のIT・ソフトウェア業界のM&Aは61件となり、2008年以降では、2015年の68件、2008年の63件次ぐ3番目に高い水準となった。 

一方、金額は6195億円で、2016年の1兆2074億円に次ぐ2番に高い水準となった。ソフトバンク<9434>がヤフー<4689>の子会社化に投じた4565億円が全体を引き上げた。 

ちなみに2016年の金額トップもソフトバンクグループで、同社の子会社でモバイル端末向けゲーム・アプリ製作配信会社のスーパーセル(フィンランド)を約7700億円で売却した案件だった。 

また2019年上期は異業種企業がIT・ソフトウェア関連企業を買収した件数が全体の3分の1ほどに達した。EC(電子商取引)や自動運転、スマートフォンアプリなどIT・ソフトウェア業界には話題のテーマが多く、今後も異業種企業による買収は続きそうだ。 

上位2件は1000億円以上の大型案件 

東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、M&A Online編集部が集計した。 

2019年上期の金額トップはソフトバンクが日本最大のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフーを子会社化する案件。ヤフーが実施する第三者割当増資を引き受け、12.08%の持ち株比率を44.64%に引き上げるとともに、役員派遣などを通じて連結子会社(支配力基準)とする。 

2番目はブリヂストン<5108>がオランダのトムトム傘下で車両の運送データ管理などの事業を手がけているトムトムテレマティクスを買収する案件。ブリヂストンは車両やタイヤの稼働状況に関するビッグデータを活用することで、商品開発やメンテナンスサービスの品質向上につなげる。買収金額は約1138億円。 

3番目はソフト開発会社のエヌ・デーソフトウェア<3794>MBO(経営陣による買収)によって株式を非公開化する案件。ジェイ・ケイ・イー(東京都新宿区)がエヌ・デーソフトウェアに対して完全子会社化を目的とするTOB株式公開買い付け)を実施する。買付金額は299億円。 

全業種では2009年以来10年ぶりの高水準

 2019年上期の全業種のM&Aは394件で、前年同期を67件上回り、2009年以来10年ぶりの高い水準となった。日本企業による海外企業買収が66件と前年同期より19件増えたのが目立った。

 一方、金額は約2兆1000億円で、2018年上期より6兆8000億円減少した。2018年上期は武田薬品工業<4502>がアイルランド製薬会社シャイアーを6兆円以上の巨費で買収する案件が含まれていたため、大きく減少する結果となった。

 金額トップはIT・ソフトウェア業界同様、ソフトバンクによるヤフーの子会社化だった。次いで日本ペイントホールディングス<4612>による豪州の塗料大手デュラックスグループの子会社化の3005億円、第一生命ホールディングス<8750>による米生保グレートウェストの既存契約の取得の約1300億円の順となった。

順位 IT・ソフトウェア業界2019年上期のM&A金額上位10件

1

ソフトバンク、ヤフーを連結子会社化(4565億円)

2

ブリヂストン、蘭トムトムのモビリティー関連事業を買収(1138億円)

3

エヌ・デーソフトウェア、MBOを実施し株式を非公開化(299億円)

4

協和エクシオ、システムソリューション事業のシンガポールDeCloutをTOBで子会社化(69億円)

5

NTTデータ、デジタルマーケティング支援のネットイヤーグループをTOBで子会社化(35億円)

6

朝日放送グループホールディングス、アニメ「秘密結社鷹の爪」のディー・エル・イーを子会社化(28億円)

7

スマートバリュー、INDETAILのソフト開発事業を取得(13億円)

8

カイカ、eラーニングのアイスタディをTOBで子会社化(12億円)

9

SHIFT、システムコンサルティングのシステムアイを子会社化(9億円)

10

ACCESS、TV・車載向け動画配信プラットフォームを提供するドイツNetRangeを子会社化(7億円)

文:M&A Online編集部