東京商工リサーチが大型倒産(原則負債総額30億円以上)と注目企業の倒産状況をまとめた「TSR速報」によると、2019年上期のゴルフ場倒産件数が2016年以降最低の2件となった。

若年層のゴルフ離れからゴルフ場利用者は年々減少しており、ゴルフ場経営は厳しい状況にある。さらに多くのゴルフ場が預託金償還問題を抱えており、倒産が減少する要因は少ないと考えられていた。

こうした情勢の中、若年層の取り込みのためのプレー費の低価格化やドレスコード(服装規定)の緩和などの動きが広がっていた。ゴルフ場の倒産は山を越えたのか、それとも嵐の前の静けさなのか。

反転のナイスショットは出るか

2016年、2017年、2018年は通期、2019年は上期

TSR速報のゴルフ場倒産件数を見ると、2016年が8件(上期4件、下期4件)、2017年が7件(上期6件、下期1件)、2018年が15件(上期9件、下期6件)だった。2019年上期の2件は過去3年の上期との比較では2分の1から4分の1ほどになる。

2019年上期に倒産したのは1社が富士御殿場ゴルフ倶楽部(静岡県御殿場市)を運営していたサンユウ産業(東京都千代田区)。負債総額は約232億円で、このうち預託金関連は約140億9500万円だった。1月30日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。1996年5月期には約17億5600万円の売り上げがあったが、プレーヤーの減少に伴い、2018年5月期には約5億4200万円に減少していた。

もう1社は21センチュリークラブ富岡ゴルフコース(群馬県富岡市)を運営していたワイ・ケイ・ジャパン(東京都渋谷区)。負債総額は162億4269万円で、このうち預託金関連は約81億4200万円だった。4月17日に東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。過去には年間10億円以上の売り上げがあったが、近年は4億円ほどに減少していた。

2018年の負債総額最高額は約145億円で、2番目が約112億円だったため、1件あたりの負債額はやや大型化したといえる。

経済産業省の統計では、ゴルフ場利用者数は2016年が約939万人、17年が約936万人、2018年は892万人と減少傾向が続いている。これに伴ってゴルフ場の売上高も2016年が約925億円、2017年が約921億円、2018年が約888億円と厳しい環境下にある。

ゴルフ場は2002年のピーク時に2460コースあったが、2019年5月時点で営業中のゴルフ場は2170コースほどにまで減少しており、さらに減少するとの専門家の声もある。

厳しい環境の中、生き残りをかけて若年層の取り込みのためにプレー費を抑えるゴルフ場が多く、2月や8月のオフシーズンには昼食付で4000円台という格安のプランも登場する。手ごろな価格でプレーできる格安プランによって、ゴルフの楽しみを知った若年層がその後リピーターとなることは十分に期待できる。

堅苦しいドレスコードを緩和する動きもある。西熱海ゴルフコース(静岡県熱海市)では、7月6日から9月16日までの間、Tシャツやハーフパンツ、ショートソックスなどでプレーすることができる。こちらも敷居の高かったゴルフ場に対する認識が変わることで若年層の取り込み効果が期待できる。

これら取り組みが功を奏して、このままゴルフ場倒産は減るだろうか。15年以上苦しんできたゴルフ場だけに、そろそろ反転のナイスショットが飛び出してもよさそうだが…。

文:M&A Online編集部