上場企業の間に早期(希望)退職者を募集する動きがじわりと広がっている。大型連休が明けて、オンラインゲーム開発のAimingが40人程度、東芝は半導体関連の子会社で約350人の早期退職者募集を発表した。2019年に入って募集を発表した企業数はすでに10社を超えており、5カ月足らずで昨年の12社(東京商工リサーチ調べ、ただし、募集済みのもの)に並んだ。

また、早期退職制度の内容などは未定だが、日産自動車は業績低迷を受けて、4800人規模の人員削減を打ち出した。15日には、ジャパンディスプレイが全従業員の2割に相当する1000人規模で早期退職者を募集する計画を発表した。

景気「悪化」でリストラ圧力強まるおそれも

内閣府は先に、景気について6年2カ月ぶりに「悪化」の基調判断を示した。米中貿易摩擦による中国経済の減速などで景気後退への懸念が強まる中、経営合理化に向けて人員リストラ圧力が高まるおそれもある。

「令和」に入って早期退職者募集の発表企業の第1号となったのがAiming。募集人数40人程度は全従業員の約5%にあたる。スマホゲーム開発競争の激化などによる収益減に対応した構造改革の一環として実施する。

企画・運営グループに所属し、4月30日時点で勤続2年以上の従業員が対象。募集期間は5月20日~31日で、退職日は6月30日。応募者には加算金を上乗せした特別退職金を支給する。希望者には再就職支援を行う。

Aimingは「剣と魔法のログレス いにしえの女神」「戦国大河」などのスマホゲームで知られる。しかし、3期連続の最終赤字(2018年12月期は15億5300万円の赤字)に陥っており、業績立て直しが急務になっている。

東芝、システムLSI部門で人員削減

東芝は、半導体製品やHDD(ハードディスク装置)などを手がける子会社の東芝デバイス&ストレージ(TDSC、東京都港区)で早期退職者を募集する。主力部門の一つであるシステムLSI事業の構造改革を主眼とし、共通スタッフや営業部門を含めて約350人の人員を削減する計画。システムLSIをめぐり、昨年末から想定を超える市況悪化が進んでいることを理由に挙げている。

関連費用として約64億円を見込む。9月末までの退職を前提として準備が整い次第、募集を始める。TDSCは2017年7月に東芝の社内カンパニーから独立して発足した。

これとは別に、東芝は昨年11月に同社、東芝エネルギーシステムズ、東芝デジタルソリューションズの3社で約1060人の早期退職者の募集を発表。3月末で823人が退職した。

製薬業界で募集が広がる

大型連休前の4月下旬、中外製薬は早期退職者を募集(4月1日~19日)したところ、172人の応募があったと発表した。退職日の6月末時点で45歳以上の正社員やシニア社員を対象とした。

製薬業界では昨年来、薬価引き下げや開発費増大などを背景に人員圧縮の動きが目立っている。昨年、大正製薬ホールディングス、アステラス製薬、エーザイが早期退職者を募集。今年に入ると、協和発酵キリンが3月に実施(296人応募)し、鳥居薬品が現在募集中(人数は定めず)だ。

ゴーン・ショックに揺れる日産自動車が14日発表した19年3月期決算は米国市場での販売不振などが響き、最終利益57%減という大幅減益に見舞われた。業績回復に向けて、世界規模で生産能力の余剰分を10%削減するのに伴い約4800人の人員削減する方針で、今後、早期退職制度の詳細を詰める。

業績不振が続くジャパンディスプレイは9月末までに早期退職者を募集し、国内外で1000人程度を削減する。15日発表した19年3月期の最終損益は1094億円の赤字。主力のスマートフォン向け小型液晶ディスプレーの販売不振が響き、5年連続の最終赤字となった。同社は「日の丸ディスプレー」を旗印としてきたが、今年4月に台湾と中国の企業連合の傘下で経営再建を進めることを決めている。

◎2019年以降:早期(希望)退職者募集を発表した企業

発表月社名募集規模と応募人数
5月
Aiming40人程度(5月20~31日)
東芝約350人(システムLSI事業子会社で。準備が整い次第)
日産自動車約4800人(詳細未定)
ジャパンディスプレイ1000人規模(9月末までに)
4月
中外製薬定めず→172人応募
3月
メガチップス40人程度→5月31日まで実施中
2月
協和発酵キリン定めず→296人
鳥居薬品定めず→5月31日まで実施中
ルネサスエレクトロニクス900人程度(推定)
コカ・コーラボトラーズジャパンHD700人程度→950人
1月
アルペン300人程度→355人応募
光村印刷30人程度→子会社の新村印刷で実施済み
カシオ計算機定めず→156人応募

文:M&A online編集部