上場企業などが公表する有価証券報告書に記載される情報は大きく2つに分類することができます。「財務情報」と「記述情報」です。「財務情報」は財務諸表や注記事項など数値が主体の情報ですが「記述情報」は経営戦略、経営成績等の分析などを含む、いわば文章が主体の情報といえます。

積極的なM&Aを通じてグループ経営を行っている企業であれば、どのような事業領域に資源を投資し、各領域でどのような成果が表れているのかを投資家に向けて分かりやすく説明することが課題となります。2019年3月に金融庁から公表された「記述情報の開示に関する原則」の内容を踏まえ、今後求められる開示の姿を紹介したいと思います。

開示情報の充実が求められる背景

そもそも企業情報の開示はどのような意味を持っているのでしょうか。これは、一つには、投資家の判断材料となる情報の提供を通じて資本市場における効率的な資源配分を実現するインフラとしての役割が考えられます。また同時に、投資家と企業との建設的な対話を促進することにより、企業経営の質を高め、企業価値を向上させるという意味も有しています。

このような認識にもとづき、金融庁はワーキング・グループを設け、近年の事業環境や資本市場を取り巻く国際的な動向に対応した企業情報の開示・提供のあり方について包括的に検討しました。検討結果は2018年6月の「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」として公表されています。

同報告においては、建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供や、提供情報の信頼性・適時性の確保に向けた取り組みとともに「財務情報」および「記述情報」の充実という題目が掲げられています。

「記述情報の開示に関する原則」とは

「記述情報」は、ひと言でいえば「非財務情報」です。もちろん、分析的な記述の中には経営指標などの財務数値も含まれますが、基本的には文章が主体の記述という特徴があります。

そのため、財務ハイライトや財務諸表、附属明細のような数値情報とは異なり、書式どおりに開示すればよいという訳にはいきません。そこで上述のワーキング・グループの提言を踏まえ「記述情報」の基本的な考え方や望ましい開示内などについて取りまとめたものが「記述情報の開示に関する原則」になります。