ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京都千代田区)がまとめた2018年(1~12月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年比8.3%増の1361億円(四半期の結果を単純集計)となり、4年連続で増加した。投資件数は1287件で、前年を11.8%上回った。IPO株式公開)やM&Aによる高リターンを期待して成長資金を取り込んでいる様子がうかがえる。

18年10~12月、13四半期ぶりにマイナス

ただ、四半期別にみると、2018年10~12月期(第4四半期)の投資額は前年同期比3.9%減の369億円で、2015年7~9月期以来、13四半期ぶりのマイナスを記録した。景気減速懸念を背景にベンチャー投資に慎重姿勢が出てきた可能性もあり、今後の動向が注目される。

VECは四半期ごとに国内VCによる投資動向調査を集計している。今回の18年10~12月期調査には99社が回答した。投資額は369億円で、四半期ベースでほぼ3年ぶりに前年同期を下回ったが、前期(7~9月)比では29.7%増となった。投資件数は前年同期比2.6%減の342件だった。

10~12月期の国内投資を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」が43.1%とトップで、次いで「バイオ・製薬」16.6%、「工業、エネルギー、その他産業」12.6%が続く。7~9月期に11.8%と2ケタのシェアだった「医療機器、ヘルスケアサービス」は5.5%に低下した。

スタートアップ企業の成長段階に応じたステージ別の投資動向(官民ファンドのINCJは除く)は以下のとおり。「アーリー」が38.5%(前期35.8%)、「シード」が27.6%(同22.1%)、「エクスパンション」が21.7%(同32.6%)、「レーター」が12.3%(同9.6%)。

「シード」への投資が2ケタ増

前年同期と比べると、事業の計画・準備段階にあたる「シード」のシェアが16.5%から11.1ポイント伸びた半面、「アーリー」(設立後、経営が軌道に乗り始める段階)は49.7%から11.2ポイントのシェアを落とした。投資資金が“最初期”のベンチャーに向かっていることがより鮮明になっている。

「エクスパンション」は事業の本格展開から拡張段階、「レーター」はIPOを検討段階のベンチャーを一般に指す。

10~12月期に新規に組成されたファンドは10本、340億円。これにより、2018年の新規設立ファンド数は48本(前年比1本増)、ファンド総額は2598億円(同599億円増、既存ファンドへの追加出資含む)と高水準を維持した。

◎国内向け投資の推移(VECまとめ)

投資額投資件数
2013660億円680件
2014646億円732件
2015738億円845件
2016950億円1074件
20171257億円1151件
20181361億円1287件

文:M&A Online編集部