連日のようにニュースで取り上げられるM&A。近年、大手企業を中心に経営戦略の有力な手段として定着してきた。しかし、ネガティブなイメージで語られることも少なくない。日本のM&Aにおいては、主に下記の要因が挙げられる。

後継者不在で増える「黒字廃業」

1.黒字廃業OR後継者がいない

黒字のまま会社を廃業するというケースが中小企業を中心に増加傾向にある。この場合は「後継者不在」が原因であることが多い。昨今は経営者が高齢化する一方、子供が会社を継ぐという価値観が廃れつつあるため、経営者が引退することになっても後継者がいないというケースが少なくない。そのため後継者を育成できなかった経営者はたとえ会社が黒字で、まだ事業を存続させたくても、引退に際して会社を廃業せざるを得ないという状況になってしまう。

年齢を重ねている一方で後継者の選定や育成が出来ていないという経営者の方は気を付けた方がいい。

2.倒産

窮境に陥り、ついには倒産手続きにいたった企業であっても、事業内容に見るべきものがあって窮境原因を除去し、事業の立て直しを図れば再建可能な場合が多く存在する。

一般的に、倒産手続きにいたった企業がそのまま自主再建を目指す場合には、倒産手続きによって毀損された会社の信用を回復するまでに相当の期間を要し、その間、外部からの資金調達などが困難な状況の中で事業の立て直しと債務の弁済を進めなければならない点で、難易度の高い再建手法となる。

これに対し、スポンサー企業が支援して買収する場合には、当該企業ないし事業に対する信用を補完しつつ、スポンサー企業の資金力や営業力により事業の立て直しがなされる。このため、事業の再建可能性は高まり、早期の再生が可能となる。

買収側にとっても、スポンサーとして支援して傘下に収めることにより、一から事業を立ち上げるよりも短期間のうちに事業範囲や事業規模を拡大して企業の成長につなげるチャンスを得られるメリットがある。

敵対的買収から連想するイメージ

3.敵対的買収

買収企業が、買収対象企業の取締役会の同意を得ないで買収を仕掛けることをいう。買収企業は、対象企業の議決権の過半数の取得を目指すことが一般的だ。

日本の金融商品取引法では、有価証券報告書を提出する義務のある会社の株式に対し、市場外または市場内と市場外の組み合わせによる買い付けで所有割合が3分の1を超える場合、原則、公開買い付け(TOB)の形で行わなければならない。TOBによって買収を仕掛けることが多いが、市場内での取得のみで議決権の過半数を取得するケースも見られる。

買収企業は、対象企業の解散価値に注目して投資するフィナンシャル・バイヤーと、買収者の経営指導効果や事業のシナジー効果によってもたらされる投資価値の拡大を目的とするストラテジック・バイヤーに大別される。

敵対的買収の主な事例は次の通り(カッコ内は買収を仕掛けた会社)。

  • 〇ソフトブレーンの株式取得(スカラ、2016年)
  • 〇新華ホールディングス・リミテッドへのTOB(テクノグローバル、2017年)
  • 〇コージツへのTOB(DRCキャピタル傘下の投資事業組合、2011年)
  • 〇ソリッドグループホールディングスへのTOB(ケン・エンタープライズ、2007年)
  • 〇エスエス製薬へのTOB(独ベーリンガーインゲルハイム、2010年)
  • 〇日本ギア工業の株式取得(成和、2015年)


以上のようなM&Aが国内においてネガティブなイメージに結び付く一因ともいえよう。そうしたイメージを払拭するうえでも重要となるのがM&A後の取り組み、つまりPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)だ。