江戸時代に創業した老舗葬儀社の桶孫(新潟県上越市)が2019年5月7日、新潟地方裁判所高田支部より破産手続の開始決定を受け倒産した。葬儀場「セレモニールーム大町」の運営や葬祭式典、霊柩運送、葬儀会員制度など葬儀ビジネス全般を展開してきたが、業績悪化に歯止めがかからず破産を選択した。

「価格破壊」でローカル葬儀社が次々と破綻

実は葬儀社の倒産は全国で相次いでいる。2018年8月に永盛葬儀社(東京都台東区)、同9月に愛永(相模原市南区)、同10月に聖雲会館(新潟県新発田市)、同12月にはコンノサービス企画(宮城県大崎市)と、ローカル葬儀社が軒並み経営破綻しているのだ。

厚生労働省の人口動態統計によると、2017年の死亡者数は134万人を超え、2000年と比べると約38万人も増えている。高齢化が進み死亡者数は増えるのだから、葬儀市場は拡大するはず。なのになぜ葬儀社の倒産が相次ぐのか?

最も大きな要因は葬儀の低価格化である。葬儀件数は増えても、葬儀「単価」が下落すれば売り上げは伸び悩む。その結果、この17年間で年間死亡者数が4割近く増えているにもかかわらず、葬儀社の経営が厳しくなっているのだ。葬儀「単価」が下落した背景には、二つの要因がある。

第一に葬儀の簡素化だ。かつては生前に親交のあった友人や近所の人たち、本人やその家族の職場仲間などが参列するのが当たり前だった葬儀も、最近では血縁関係の近い親族だけを招く「家族葬」が増え、故人の意思で葬式を行わない「直葬」すら珍しくなくなった。

葬儀の多様化で「お金をかけないお別れ」がトレンドに(Photo by Gaertringen)

帝国データバンクの「葬儀業者2163社の経営実態調査」によると、葬儀費用の平均は約200万円だが、首都圏の家族葬になると100万円以下と半額以下に下がる。特に墓地が高額な関東など都市部では、そのあおりを受けて直葬の比率が高まるという。

要は「葬儀にカネをかけるのか、それともお墓にカネをかけるのか」のせめぎ合いで、お墓を選ぶ人の方が多いということだ。最近は「終活」ブームで、故人が生前に葬儀や埋葬について決めるケースも増えた。「葬儀は遺族のメンツ、お墓は本人のメンツ」と言われるように、「葬儀よりもお墓にこだわる」トレンドになっているようだ。