ブレーキペダルを踏んだつもりで、アクセルペダルを強く踏み込み、急発進する事故が後を絶たない。高齢者によって引き起こされたこうした事故が多く報道されるが、若い人でも同様の事故はないわけではない。

そうした中、東京都の小池百合子知事がペダルの踏み間違えを防ぐ装置の取り付けについて、費用の9割程度を補助する考えを都議会で表明した。こうした動きが地方にも広がる可能性は高く、装置メーカーには追い風になりそうだ。どんな装置があるのか。

販売数量が前年同期比26倍に

カー用品の販売や車検などを手がけるオートバックスセブン<9832>が取り扱うのは「ペダルの見張り番Ⅱ」。データシステム(東京都新宿区)がオートバックス専売品として製造している商品で、アクセル信号を常時モニターし、停車時や徐行時にアクセルペダルが急激に踏み込まれると、アクセル信号がキャンセルされ、急発進を防止する。

3万ー4万円で装着できるペダルの見張り番Ⅱ

価格は標準タイプで3万円(税抜き)、高機能タイプで4万円(同)で、いずれも本体代のほかに取付部品と取付作業工賃を含んでいる。適合車種は標準タイプで170車種以上、高機能タイプで210車種以上。

同社によると、4月下旬から問い合わせが急増しており、5月度の販売数量が前年同期比、で約26倍に伸びた。急発進を防止する装置だが、売れ行きは文字通りの“急発進”だ。

自動車メーカーのダイハツ工業(大阪府池田市)はペダル踏み間違えによる急発進を抑制する後付けの安全装置「つくつく防止」を2018年12月から販売している。

ダイハツ車専用の装置で、車両の前後に取り付けたセンサーが3メートル以内にある障害物を検知し、運転者がアクセルを強く踏み込んだ際にペダルの踏み間違いと判断し、コントローラーが燃料の供給をカットする。

累計販売台数の多い「タント」などに対応した商品が用意されており、価格は3万4560円、標準の取り付け費を含めると5万9508円になる。

ダイハツ工業によると、2012年に開発した衝突回避支援システムの搭載車数は、現在200万台に達しているものの、全体の8割は非搭載車のため、後付け装置を開発したという。

機械式で挑戦するベンチャーも

2018年2月設立の機械の設計や製造などを手がけるベンチャー企業による挑戦もある。

とまるんデスの部品

ジャパン・ハイブリットサービス(広島県海田町)はアクセルペダルの踏み間違いを防ぐ装置「とまるんデス」を2019年6月末から7月初旬に発売する。

広島国際学院大学自動車短大部との共同で開発を進めてきた機械式の装置で、アクセルを強く踏み込むとアクセルペダルが解除され、さらに踏み込むとブレーキペダルが踏まれる構造になっている。

ペダルから足を離すと通常の状態に戻り、アクセルとブレーキはそれぞれの通常の機能を取り戻す。価格は11万円(税抜き)で、別途取り付け作業工賃が必要だ。

ブレーキのつもりで踏んだペダルがアクセルだった場合を想像するとぞっとしてしまう。大半の人はパニックに陥り、さらに強くアクセルを踏み込んでしまうようで、こうなると安全装置に頼らざるを得ない。

需要が拡大すれば新たに参入する企業が増えることが予想される。さらに自動車メーカーによる標準装備になれば、大きな市場になる。ペダル踏み間違え防止装置は、装置メーカーにとっては人命を守りつつ業績を引き上げる魅力的な製品といえそうだ。

文:M&A online編集部