ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

【赤字決算】千代田化工・JDI・スルガ銀…その顔ぶれを振り返る

alt
2000億円を超える最終赤字となった千代田化工建設(横浜市の本社)

上場企業の2019年3月期決算の発表が一段落した。好業績をおう歌する企業がある一方で、海外事業のつまずき、検査データ改ざんや施工不良に伴う改修費用の拡大などを理由に巨額の最終赤字に沈んだところも少なくない。改めて、その主な顔ぶれを振り返ってみるとー。

千代田化工、赤字2149億円 三菱商事など金融支援

3月期決算の上場企業は約2350社。その中で、最大級の最終赤字に追い込まれたのが千代田化工建設だ。米国で建設中のLNG(液化天然ガス)プロジェクトで追加工事や作業員の人件費高騰からコストが想定を超えて膨らんだほか、インドネシアでも工事費用が拡大したことなどで、最終赤字は2149億円(前期64億円の黒字)に上った。

赤字幅は売上高(33%減の3419億円)の6割強に達し、財務基盤が大きく揺いだ。このため、三菱商事と三菱UFJ銀行から総額1800億円の金融支援を仰ぐ。3月末の受注残高がエネルギー関連プラントを中心に7715億円と1年で50%以上増加しているのは好材料。20年3月期は60億円の黒字を見込む。

海運では大手3社中、日本郵船が445億円、川崎汽船が1111億円の最終赤字に転落した。商船三井を含めた3社で設立したコンテナ船事業統合会社で営業開始(18年4月)直後のサービス混乱で積高・消席率が落ち込んだことなどが響いた。

JDIは5年連続で赤字  「台中連合」傘下で再建へ

ジャパンディスプレイ(JDI)は1094億円の最終赤字。5年連続の最終赤字で、スマートフォン向け中小液晶ディスプレー販売の落ち込みが直撃した。9月までに国内外で1000人規模の人員を削減する。4月に台湾と中国の企業連合の傘下で経営再建を進めることを決めている。

野村ホールディングスは1004億円の最終赤字(前期2193億円の黒字)に陥った。過去に買収した米国子会社ののれんの減損(810億円)が主因で、リーマンショックが起きた09年3月期以来10年ぶりの最終赤字だ。

三井E&Sホールディングスは695億円と19年3月期における製造業で最大規模の最終赤字を計上。インドネシアの火力発電所工事で約810億円の損失が発生し、赤字幅は同社として過去最大となった。火力発電所工事については新規受注を停止した。

不正融資関連でスルガ銀行、17年ぶりに転落

スルガ銀行支店(東京・日本橋)

17年ぶりの最終赤字に転落したのは、シェアハウス関連の不正融資問題に揺れるスルガ銀行。赤字は971億円に上る。同行の3月末の預金残高は前年同期比22%減の3兆1656億円。信用失墜で預金流出に歯止めがかかっておらず、再建への道のりは険しさを増している。20年3月期は105億円の黒字化を目標とする。

LIXILグループは過去に買収したイタリア建材子会社の減損損失などで521億円の最終赤字(前期は545億円の黒字)となった。同社はトップ交代をめぐる内紛問題を抱え、企業イメージの失墜ばかりか、首脳陣が経営に専念できない異常状態にある。

施工不良問題を抱えるレオパレス21は改修費用の拡大などで686億円(前期148億円の黒字)、免振・制振装置の検査データ改ざんが発覚したKYBは交換工事費用の発生などで247億円(同152億円の黒字)の最終赤字に追い込まれた。レオパレスは20年3月の最終利益予想を1億円とし、辛うじて水面上への浮上を目指す構えだ。

先行きに不透明感、黒字転換へ予断許されず

RIZAPグループは193億円の最終赤字だった。積極的なM&Aで成長してきたが、買収した子会社化群の業績不振が直撃した。最終赤字は11年ぶり。

大日本印刷、日本製紙の最終赤字はそれぞれ約350億円で、赤字は両社とも7年ぶり。大日本印刷は壁紙製品の一部不具合に伴う補修費用がかさみ、日本製紙は洋紙事業の生産体制再編費用などが響いた。

私的整理による事業再生手続き中の曙ブレーキ工業は北米事業の不振を主因182億円の最終赤字となった。

各社は20年3月期に黒字への反転を目指す。ただ、米中貿易摩擦に伴う中国景気の減速などで世界経済の先行きに不透明感が強まる中、シナリオ通りに業績立て直しが進むかどうか予断を許さない。

◎2019年3月期決算:主な企業の最終赤字と次期の最終利益予想(単位は億円)

証券コード 企業名 赤字額(億円) 20/3期予想(億円)
<6366> 千代田化工建設 2,149 60
<9107> 川崎汽船 1,111 110
<6740> ジャパンディスプレイ 1,094 非公表
<8604> 野村ホールディングス 1,004 非公表
<8358> スルガ銀行 971 105 
<7003> 三井E&Sホールディングス 695 30
<8848> レオパレス21 686 1
<5938> LIXILグループ 521 150
<9101> 日本郵船 445 260
<7912> 大日本印刷 356 510
<3863> 日本製紙 352 130
<7242> KYB 247 140
<2928> RIZAPグループ 193 5
<7238> 曙ブレーキ工業 182 非公表

文:M&A online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


関連のM&Aニュース