日本発のテックカンパニーは、どのような人工知能(AI)人材を求めているのか?2019年7月18日、東京・六本木のメルカリ<4385>本社で同社やディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、ABEJA(東京都港区)、経済産業省から関係者が集まり、AI開発の人材育成について報告と問題提起があった。

AI国家戦略の一丁目一番地は「人材育成」

「人材育成」をAI戦略の一丁目一番地と位置づける経済産業省の小泉誠商務情報政策局情報経済課課長補佐は、同省の進める「AI Quest(AIクエスト)」が目指す年間2000人の人材育成について説明した。小泉課長補佐が強調したのは、拡大生産性の高いAI人材育成手法の確立だ。人材育成には専門教師が必要だが、AI開発はここ数年が勝負となるので年間2000人を教える大量の教師を養成する時間はない。

そこで経産省が注目するのは、フランスのプログラミングスクール「42」だ。実業家のザヴィエ・ニエル(Xavier Niei)氏が出資した教育機関で、学費は無料。同校はわずか10人の教育スタッフで、年間1000人もの人材を育成している。なぜ、そんな少ない教師で毎年1000人も入学してくる学生を教育していけるのか?その答えは同校の教育ポリシーとなっている「ピアツーピア教育」にある。

ピアツーピア教育ではいわゆる授業はなく、ゲーミフィケーションを取り入れた自主学習で学ぶ。生徒同士がレビューし合って、互いに教育している。実際にAIで分析するデータを加工し、PBL(Problem Based Learning=問題にもとづく学習)を回す。例えば検査作業の80%をAIで処理したいという問題があれば、そうしたケーススタディーを通じてAIの開発だけでなく、実際にどこまで省力化が可能なのかといった具体的な検証をしていく。

小泉課長補佐は「AIを駆使して日本で新たなGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を立ち上げるのは現実的ではない。日本が得意とするモノづくりでAIを活用し、コネクテッドインダストリーにより世界をリードすべきだ」と語る。その中核となるのは日本のものづくりを支える中小企業だ。決して一握りのテック企業を育てるのがAI教育の目的ではない。

小泉課長補佐は「コネクテッドインダストリーの実装を進めていく人材を育て、AIの『うねり』を作りたい。AI教育に参加したいという学生や社会人を増やし、結果が出れば象徴的な事例をPRしていく。民間企業には人材活用策として大いに利用してほしい」と呼びかけた。

「AIにはうねりが大事」と、小泉さん