美容商社のビューティガレージは理美容やエステ、リラクゼーション、ネイル、アイラッシュなど美容サロンの海外進出セミナーを都内で開いた。美容業界では海外進出への関心が高まっているが、現地の状況が分からず、踏み出せないという声が少なくない。

ASEAN(東南アジア諸国連合)地域や台湾への出店を実現したサロン経営者4氏によるパネル討論会では現地ビジネスの最新事情やヒント、留意点などについて意見が交わされ、約180人の参加者が熱心に耳を傾けた。

パネル討論会の登壇者は石橋正樹・76STYLEオーナー(マレーシア)、大曽根貴子・フェイシア銀座シンガポールオーナー(シンガポール)、坂手遼治・HAIR LOUNGE Ryoji Sakate代表(インドネシア)、東出一樹(「LIM HAIR」台湾店を7月に開業予定)の各氏。ビューティガレージの山中真次海外事業アドバイザーが進行役を務めた。

以下、そのやりとりを抄録した。

大曽根さん:採用選考に4カ月をかける

ー開業に際して一番苦労したことは何ですか。

大曽根さん(シンガポール)

大曽根 エステサロン「フェイシア銀座」のフランチャイズ権を得て、2018年3月にシンガポールに1号店をオープンした。私自身、その6年前からシンガポールで会計事務所を経営していたので、現地の実情にはある程度通じていた。サロン開店時はスタッフの採用に最も時間をかけた。ざっと4カ月に及んだ。4ケタ(1000人)の応募があり、100人ほどと面接し、最終的に3人を採用した。

シンガポールでは離職率が高いが、今もその3人は残っている。当店の小顔矯正はハンドマッサージによる施術に特徴がある。選考にあたっては日本的サービス(の提供に)に耐えられるかどうかを入念にチェックした。

石橋さん(マレーシア)

石橋 2004年にマレーシアで起業(現在22店舗を経営)したが、私の場合は就労ビザの取得に一苦労した思いが強い。書類の書き方も分かりづらい。結局、10カ月から1年かかった。2008年のリーマン・ショック時には外国人へのビザの締め付けが厳しくなった。ビザ発行がその時々の政府の方針に左右されがちな面があるのは否めない。

東出さん(台湾)

東出 7月に「LIM Hair」(大阪市)の台湾店(台北市)を共同経営の形で立ち上げる。実は3月にオープンを予定していた。ところが、当初2カ月ほどと思っていた会社設立までに5カ月ほどかかった。役所の対応がちぐはぐだったりして、予定通りに進まないことを覚悟しておく必要がある。

坂手さん:スタッフと週一で個人面談

坂手さん(インドネシア)

坂手 インドネシアでも同じことがいえる。例えば、工事が1カ月で終わると言われても、完成まで3~4カ月かかると思っていた方がいい。開業が遅れたまま、家賃だけ発生することになる。そうした時の忍耐力が求められる。

人の問題は大事だ。現在2店舗を経営しているが、週に1度スタッフと個人面談し、店の哲学やポリシーを繰り返し伝えている。結果、辞めるスタッフはいなくなった。

ーお客様としては現地在住の日本人とローカルでどのような比率ですか。

大曽根 日本人は1~2割といったところ。

石橋 旗艦店だと約60%が日本人のお客様。トータルビューティーの店では大半がローカルで、65%ほどを占める。

東出 台湾ではこれまでも日系サロンで働いていたが、8割はローカルだった。

坂手 2店舗のうち、1つの店舗は8割がローカルで、日本人1割、その他1割。もう1店はインドネシア華僑が9割で、日本人客はいないといっていい。