日本企業が中国と韓国で行うM&Aに変化の兆しが現れてきた。

米国と中国が互いの製品に追加関税をかけ合う貿易摩擦によって、中国経済が減速しており、日本企業にも影響が広がってきた。

韓国では徴用工問題に加え、半導体製造などに使われる化学製品3品目の輸出規制に踏み切った日本に対し、文在寅大統領が対抗措置を取る可能性に言及したほか、WTO(世界貿易機関)への提訴の検討を始めた。

こうした環境の中、2019年入って現在(7月8日)までに日本企業が中国企業を買収した件数が6件となり、4年ぶりの高い水準となった。2015年以降、譲渡が買収を上回っていたが、2019年の現状は買収と譲渡の件数が並んでおり、厳しい経済情勢にもかかわらず、中国国内でビジネスを拡大するためのM&Aに前向きな日本企業の姿が浮かび上がってきた。

一方、韓国では2010年以降、買収が譲渡を上回っていた(2015年は同数)が、現時点では譲渡が買収を上回る状況になっており、「中国買い、韓国売り」が鮮明になった。

中国企業の買収が増加

東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、M&A online編集部が集計した。

2019年現時点での中国企業に対するM&Aは件数が12件(買収6件、譲渡6件)で、金額は約40億円だった。2019年現時点での金額トップはFHTホールディングス<3777>によるヘルスケア事業の上海蓉勤健康管理の子会社化。

FHTホールディングスは2018年10月に中国でヘルスケア事業を展開するため現地子会社(上海市)を設立しており、上海蓉勤健康管理を子会社化することで、中国でのヘルスケア事業拡大につなげる。

2位はアルプス物流<9055>による兆普電子有限公司の子会社化で、兆普電子の建物を活用して同地域における物流サービスの基盤強化と事業の効率化を目指す。

3位はアルファ<3434>による中国自動車部品メーカー广东埃德伟控汽车部件の子会社化で、将来の増産に備えるという。3社とも中国でのビジネス拡大を目的に現地企業を子会社化した。

日本企業による中国企業のM&A件数。赤色は買収、青色は譲渡