2018年度中に東京証券取引所で上場廃止となった企業は62社を数える。かつての「カーナビ4強」のうち、パイオニア、クラリオン、アルパインの3社が期せずして上場廃止となった。また、戦後の東証開設以来70年の上場歴を持つ昭和シェル石油も出光興産との経営統合に伴い、東証銘柄から姿を消した。そんな2018年度の上場廃止事情を点検してみると。

昭和シェル、70年の上場歴にピリオド

過去5年間の東証での上場廃止をみると、2014年度44社、15年度69社、16年度61社、17年度42社、18年度62社。一方、上場企業数は現在3661社で、この5年間でほぼ200社増加している。

18年度に注目を集めたといえば、3月27日付で上場廃止となった昭和シェル石油。石油元売り2位の出光興産が4月1日に同4位の昭和シェルを完全子会社化する。これにより、石油業界はJXTGホールディングスとの「2強」体制となる。統合新会社の呼称は「出光昭和シェル」を用いる。

昭和シェル石油の本社(東京・台場)

昭和シェルは1985年に昭和石油とシェル石油が合併して誕生した。母体である昭和石油が東証に上場したのは1949年5月。戦後、東証での売買再開に合わせて上場した第一陣495社の一つに数えられる名門でもある。逆に、統合相手の出光興産は戦後長らく、「非上場の大企業」の立ち位置を堅持していたが、2006年に企業活動のグローバル化など時代の変化に対応して上場にかじを切った。

鉄鋼大手の日新製鋼は新日鉄住金による完全子会社化(1月)に伴い、上場廃止した。同社の場合も源流企業の一つ、徳山鉄板が1949年5月に上場している。4月1日に「日鉄日新製鋼」に社名を変更する。

「カーナビ4強」のうち3社が東証銘柄から消える

オーディオ機器の名門、パイオニアも1961年以来の東証銘柄に別れを告げた。香港投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの傘下入りに伴い、3月末に上場廃止した。

車載情報機器のアルパインはアルプス電気と経営統合し、1月にアルプスアルパインとして再出発した。同業のクラリオンはフランスの自動車部品大手フォルシアの傘下となった。日立製作所がクラリオンの保有株式(約64%)のすべてをフォルシアに売却した。

パイオニア、アルパイン、クラリオンはJVCケンウッドを含め、カーナビで「4強」を形成していたが、カーナビは近年、スマホの台頭などで苦戦を強いられている。各社に事情の違いがあるにせよ、3社が相次いで上場廃止に追い込まれたのは象徴的といえる。

電気通信工事では7社が一挙に廃止

経営の行き詰まりによる上場廃止は2社あった。日本海洋掘削は904億円の負債を抱えて、昨年6月に事実上倒産した。原油価格の下落でリグ(海洋掘削装置)の稼働率が低下したことが経営を直撃。もう1社は、ラスクで知られた洋菓子のシベール。負債総額は約20億円。1月に民事再生法の適用を山形地裁に申請した。

業種面で最も多かったのは電気通信工事。7社が東証上場から消えた。全国規模の大手企業が地場大手を取り込む形で集約が進んだためだ。業界最大手のコムシスホールディングスが北陸電話工事、SYSKEN、NDS、協和エクシオが西部電気工業、日本電通、ミライト・ホールディングスがTTK、ソルコムをそれぞれ完全子会社化した。

◎東証:主な上場廃止会社

社名理由
東栄リーファーラインMBOで非公開化(マグロ冷凍船運航)
日本海洋掘削会社更生手続き
キタムラカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下に
新日本無線日清紡ホールディングスが完全子会社化
さが美グループホールディングスベルーナが完全子会社化
三井ホーム三井不動産が完全子会社化
東武ストア東武鉄道が完全子会社化
エキサイトXTech(エックステック)が完全子会社化
桑山MBOで非公開化(ジュエリー製造)
アルパインアルプス電気と経営統合
日新製鋼新日鉄住金が完全子会社化
大京オリックスが完全子会社化
シベール民事再生手続き(洋菓子メーカー)
一六堂MBOで非公開化(「天地旬鮮八吉」など居酒屋経営)
クラリオン仏自動車部品大手のフォルシアが買収
パイオニア香港投資ファンド傘下で再建を目指す
昭和シェル石油出光興産が完全子会社

文:M&A Online編集部