『ThinkPad』とは1992年10月に発売されたIBM(日本IBM)社製のビジネス向けノートパソコン。初代モデル『TihinkPad700C』以降、黒いボディーに赤のトラックポイント、指にしっくりと馴染むようなキーボードは多くのビジネスマンに愛され続けてきた。

 2005年、IBMからレノボ(レノボ・ジャパン)にブランドが譲渡されて以降も、開発や設計は国内にある大和研究所で続ける、まさにMAID IN JAPANのブランドである。

『ThinkPad』の特徴は何より頑丈なこと。その品質テストは、いわゆる拷問テストとも呼ばれてきた。一般的な机の高さ(約70センチ)から落としてしまっても壊れず、グラスの液体をこぼしても故障しない。

 実際の使用状況を想定した厳しい品質テスト。特に、「液晶面鉄球落下試験」「角落下試験」「防滴試験」では、何度もテストを繰り返し実施する。まさに、通常のビジネスシーンで起こり得る、あらゆる衝撃に耐える堅牢性を備えている。

設計・開発、製作を支える2つの国内拠点

 この『ThinkPad』の設計・開発を行っているのが大和研究所だ。もとはIBMが1985年、神奈川県大和市に設立した研究拠点だが、2005年、香港に本社を置くレノボがブランドを買収以降も同研究所が開発・設計を引き継いだ。IBM大和研究所の技術者の大半がレノボに移籍したという。一時は中国に拠点を置くという報道があったものの、2011年に横浜市みなとみらいに拠点を移し現在に至る。

 ブランドの発売元が変わるとき、その製品は何らかの変貌を遂げる。だが、『ThinkPad』では少し違った。IBMからレノボに発売元が変わって以降もそのブランドイメージの踏襲に、むしろ頑なだったといえるかもしれない。

 レノボでは大和研究所について、こう表現している。「旧IBMの初代『ThinkPad』から今日まで変わらず『ThinkPad』の設計開発をリードする。『ThinkPad』の伝統を脈々と受け継ぎながら、その価値を高めていく。『ThinkPad』の進化は、これからも日本発、大和研究所発であり続ける」(レノボ・ジャパン、ホームページより)。

 その、日本初の伝統とは何か。同ホームページでは「松花堂弁当」とも表現している。「シンプルな外観とディスプレイを開いたときの機能美との対比は、『松花堂弁当』をモチーフとし、日本の様式美と深く関連している」。

 その松花堂弁当にあって、印象的な赤いキャップのデザインで『ThinkPad』 の代名詞となったトラックポイントは、まさに捨てては置けない存在感を示す〝高級梅干〟なのかもしれない。

「トラックポイントは、キーボードのホームポジションから手を離さずにポインティング操作ができるようにするために採用されたもの。利用者の使いやすさを最優先に考える ThinkPad の開発姿勢の象徴でもある」としている。

 さらに「お客様に礼を尽し、心を込めて最善のおもてなしを提供する日本文化のなかで日本の技術者がその思いを込め、伝統を守りながら革新し続けてきた。『ThinkPad』には日本ならでは、の“おもてなし”の精神が宿っている」と、あくまでMAID INJAPANにこだわってきたことを表現している。

  設計・開発の大和研究所に、現在は製造拠点として、レノボ米沢事業場(米沢工場)が加わった。

 米沢事業場は1944年、山形県米沢市に「米沢製作所」として設立、1983年以降はNECのパソコンの製造拠点として、30年以上パソコンの生産を続けてきた。そして、2015年2月からは『ThinkPad』の一部直販モデルの生産を開始した。