イスラエル企業の買収・出資に冷や水

 2017年12月7日、トランプ米大統領が「エルサレムをイスラエルの首都と認める」と宣言し、テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転する方針を明らかにした。これにパレスチナ自治政府やアラブ諸国、さらには欧州諸国までが反発し、中東情勢の不安定化につながる懸念が広がっている。最も懸念されるのが中東諸国とイスラエルとの軍事紛争、そしてイスラム国(IS)をはじめとするイスラム過激派によるテロ行為だ。

 イスラエルといえば「中東のシリコンバレー」と呼ばれる、先端産業の起業(スタートアップ)大国だ。日本企業も2014年に楽天が無料通話アプリのバイバーを9億ドルで、2016年にはソニーが通信用半導体開発のアルティアセミコンダクターを2億1200万ドルで買収するなど、積極的なM&Aを展開している。日本政府は2013年以降、首相をはじめとする政府要人や経団連などの財界代表が続々とイスラエルを訪問。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とイスラエル国産業技術開発センター(MATIMOP)が「日イスラエル企業の研究開発協力のための覚書」を結び、両機関で両国間の共同企業プロジェクトを資金支援する制度を導入するなど経済連携の機運が高まっている。

 そこにイスラエルの地政学的リスクを一気に高めるトランプ大統領の宣言が降りかかってきた。治安悪化を何より嫌う日本企業だけに、イスラエル企業との連携に二の足を踏む可能性が高い。当然、イスラエル政府も治安維持のために取り締まりを強化するだろうが、それも自由な経済活動を阻害する要因となる。入国や輸入審査に手間や時間がかかったり、起業やM&A、金融取引の監視強化のために手続きが増えたりする恐れもある。なによりアラブ諸国との緊張がイスラエル経済を冷え込ませるのは避けられない。今後、日本とイスラエルの経済連携は縮小してしまうのだろうか。