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失敗、大どんでん返し、爆買い…「なんでもアリ」の大混戦 企業買収で振り返るケータイ業界

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「爆買い」のKDDI

 一方、国内携帯キャリア2位のKDDI(au)<9433>は1月にAmazon Web Services(AWS)などのクラウド導入支援を手がけていたアイレット(東京都港区)、2月に会員制宿泊予約サービス「Relux」を運営するLoco Partners(東京都港区)、8月にはメルカリと並んでユニコーン(1000億円の企業評価)になる可能性が高いといわれていたIoT通信プラットフォームのソラコム(東京都港区)を相次いで子会社化した。ソラコムには約200億円を投じたといわれている。

 11月に中国向けの電子商取引プラットフォーム「豌豆 (ワンドウ) プラットフォーム」を運営するインアゴーラ(東京都港区)へ出資した。さらに同月、英会話教室大手のイーオンなどを傘下に持つイーオンホールディングス(岡山市)の買収を発表、2018年1月をメドに全株を取得して完全子会社にする。こちらの買収費用も数百億円に上るという。まさに企業の「爆買い」だ。

 ユニークなところでは、12月に決まったアイスペース(東京都港区)への出資が話題になった。同社は米グーグル主催の月面ロボット探査レースに日本から唯一出場する産学連携チーム「HAKUTO(ハクト)」を取りまとめる宇宙開発ベンチャー。KDDIのほか産業革新機構や日本政策投資銀行(DBJ)、東京放送ホールディングス<9401>、コニカミノルタ<4902>、清水建設<1803>、スズキ<7269>、電通<4324>、リアルテックファンド、日本航空<9201>、凸版印刷<7911>、スパークス・グループ<8739>の12社で合計101億5000万円を出資する。

「2017年3月期〜2019年3月期の3カ年で5000億円のM&Aを実行する」(田中孝司社長)と宣言するKDDIだけに、見事な「大盤振る舞い」といえるだろう。ただ、買収するのはモバイル通信事業ではなく、それに乗っかるプラットフォームやアプリケーション関連のビジネスがほとんどで、「そんなに本業には魅力がないのか」と思わせるM&Aが続く。

月面探査ベンチャーにも出資
KDDIは月面探査ベンチャーにも出資 Photo by 野鳥撮り趣味

「動かざること山のごとし」のドコモ

 これに対して首位のNTTドコモ<9437>は、M&Aに極めて慎重だ。2月に広告代理店国内2位の博報堂と共同で、ロケーションバリュー(東京都港区)に増資した。同社は企業や自治体向けのスマートフォンで利用する集客アプリを手がけており、時間限定の格安割引クーポンを配信する「イマナラ!」を開発した会社。とはいえ同社はドコモの100%子会社だったので、増資したにもかかわらず出資比率は82.7%に下がっている。11月には第一生命ホールディングス<8750>、大垣共立銀行<8361>グループのベンチャーキャピタルと共同で、資産運用の自動アドバイス(ロボアドバイザー)などのフィンテックサービスを手がける、お金のデザイン(東京都港区)に出資した。

 こちらもKDDIと同様に本業ではないウェブサービス系2社への出資だが、出資額はロケーションバリューが約1億2000万円(ドコモ負担分)、お金のデザインが7億8000万円(3社総額)と、ドコモの企業規模からみれば極めて小ぶりなのが気になるところ。KDDIがモバイル通信の周辺事業を「爆買い」しているのとは対照的で、事実上M&Aについては静観している状態だ。まさに「動かざること山のごとし」。来年はドコモから「疾(はや)きこと風のごとく」、あっと驚く超大型M&Aが飛び出すのだろうか?

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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