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【旭化成】ダボハゼから選択と集中、EVへと「進化するM&A」

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車載用電池に社運をかける

そして2015年2月、旭化成の社運をかけたM&Aが断行される。車載用リチウムイオン電池の主要部材であるセパレーター(絶縁材)大手の米ポリポア・インターナショナルの買収に合意したのだ。取得額は22億ドル(約2600億円=当時)。旭化成としては過去最大の買収案件である。

自動車業界ではハイブリッド車(HV)や、HVよりも大容量の電池を搭載して電気モーターでの走行距離を伸ばすプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)へのシフトが加速しており、電池の機能向上に対するニーズが高まっていた。

ポリポアの買収発表までは「旭化成は車載用リチウムイオン電池用部材の受注に慎重」との見方が広がっていたが、そうした「下馬評」を見事にひっくり返す。ポリポアは車載用のセパレーターに強く、米テスラ・モーターズに電池を供給するパナソニック<6752>とも共同開発に取り組んでおり、車載用電池関連の特許も多い。

もともと旭化成は高容量化に有利だが製造コストが高い、湿式セパレーター技術を持っていた。容量は低いながら低コストで生産できる、乾式セパレーターのノウハウを持つポリポアの買収で「湿式と乾式の両方に強い唯一のセパレーターメーカーとなる。

旭化成が社運をかけてM&Aしたバッテリーセパレータ(同社ホームページより)

これと併せて同年3月にリチウムイオンキャパシタを手がける旭化成FDKエナジーデバイスを、折半出資するFDKに売却した。リチウムイオンキャパシタはリチウムイオン電池と電気二重層キャパシタの2つの蓄電池を組み合わせたハイブリッドタイプの蓄電デバイス。

大容量のリチウムイオン電池と、瞬時に蓄電可能な電気二重層キャパシタの「いいとこ取り」を狙ったが、リチウムイオン電池の性能向上と低価格化で競争力を失っていた。

旭化成は次世代車載用電池として育てる方針だったリチウムイオンキャパシタに見切りをつけ、リチウムイオン電池の主要部材であるセパレーターにハンドルを切った格好だ。

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