近鉄エクスプレス<9375>は1948年に近畿日本鉄道(現近鉄グループホールディングス)が国際貨物・旅客取扱を始めたことに端を発し、今年で創業70年を迎えた。航空貨物輸送、海上貨物輸送、ロジスティクスを3本柱とし、日本を代表する国際貨物専門の物流企業に成長した。

自力で海外ネットワークを切り開き、本格的なМ&Aとは無縁だった同社が大勝負に出たのは2015年。当時の売上高の半分近い1400億円の巨費を投じてシンガポールの大手物流企業を買収した。シナジー(相乗効果)の発揮など、事は目論見どおり運んでいるのか。

社運かけ、1400億円でシンガポール物流大手APLLを買収

「欧米競合他社と対等に戦える経営基盤をつくる」。こうした意気込みで、近鉄エクスプレスは2015年2月にシンガポールの海運会社ネプチューンオリエントラインズ傘下の物流会社「APLロジスティクス」(APLL)の全株式を取得することを発表し、同年5月に完全子会社化した。

当時の近鉄エクスプレスの売上高3271億円に対し、買収金額は1416億円(12億ドル)。文字通り、社運をかけた大型買収だったのだ。

この結果、売上高は約1800億円のAPLLを取り込むことで一気に5000億円規模に拡大。国際貨物輸送専門として長年のライバルで国内首位、郵船ロジスティクス(日本郵船グループ)をついにとらえ、2017年3月期に売上高で逆転した。

APLLはロジスティクス事業を主力とする。北米・アジアを中心に展開しており、自動車やリテール(消費財)産業に対する各種ロジスティクスサービスに強みを持つ。ロジスティクスというのは一般に航空輸送や海上輸送の前後の貨物の一時保管や在庫管理、流通加工などを指すが、APLLはバイヤーに代わって複数の荷主拠点で生産された商品をコンテナに混載しては輸送するバイヤーズコンソリデーション(買い付け物流)や受発注管理、鉄道輸送といった幅広いサービスメニューに定評がある。

近鉄エクスプレスは取扱品目、展開する地域の両面から、自社の国際輸送サービスとの補完が見込まれるとともに、両社サービスを組み合わせて新たな付加価値の提供が可能としてAPLLをグループに取り込んだ。