東海カーボン<5301>が昨年来、M&Aのラッシュをかけている。米国で黒鉛電極メーカーとカーボンブラックメーカーの2社、韓国で半導体製造装置向け炭素部材メーカー1社の計3社を矢継ぎ早に傘下に収めた。買収資金は約550億円と、売上高の半分強を投じた。今年は炭素製品の国内自給を目的に同社が誕生して100周年の節目。次の100年に向けての“仕込み”は万端整ったのか?

500億円の投資枠、クライマックスは米SRC買収

「米国に生産拠点を持つことで、グローバルプレーヤーとしてのポジションを確立できる」。東海カーボンの長坂一社長は6月末、カーボンブラックメーカー大手、米シド・リチャードソン・カーボン(SRC、テキサス州)の買収を発表した際、明快に目的を語った。カーボンブラックはタイヤの寿命を延ばす補強材として使われる炭素材料。東海カーボンはタイヤ用で国内首位に立つが、これまでは日本を含むアジアを主力市場としてきた。SRC買収により、中国に次ぐ市場規模の米国進出が実現する。

米国では環境規制強化の流れの中で、既存のカーボンブラック各社は環境対策費用や追加設備投資を求められるなど負担が増しており、工場新設は事実上困難とみられていた。このため、M&A活用を模索していた。買収金額は341億円で、同社として過去最大の案件。9月に取得を完了する。

SRCの売上高は425億円(2018年12月期予想)。米国内に3工場と研究所があり、ブリヂストン(日)、ミシュラン(仏)、グッドイヤー(米)、コンチネンタル(独)など大手タイヤメーカーとの優良な顧客基盤を持つ。世界7位の東海カーボンと同10位のSRCを合わせたカーボンブラックの生産能力は年93万7000トンとなり、実質世界4位に浮上する。

米国ではタイヤ生産量が向こう4~5年、年率約3%で堅調に伸びると予想されている。これに対し、カーボンブラックは供給余力が乏しいのが実情で「環境規制次第だが、増産投資も検討したい」(長坂社長)と意欲的だ。

東海カーボンは2016年に中期3カ年経営「T-2018」をスタートし、現在最終年に入っている。1年目は事業再構築を掲げ、中国工場(天津)と国内工場(宮城県)でカーボンブラックの生産能力削減、全社で希望退職者募集(約100人)、130億円超の在庫圧縮、ノンコア事業(ゴルフ練習場)からの撤退などに取り組んだ。

一連のリストラを受け、2年目の2017年から成長戦略に軸足を移すとして、M&A向けに500億円の投資枠を設定。投資枠を活用して立て続けに米韓で3件のM&Aを実行したが、そのクライマックスともいえるのが300億円以上を投じたSRC買収だった。