三井倉庫ホールディングス(HD)<9302>は2010年代前半にM&Aによる拡大路線を推し進めた。倉庫業の枠にとどまらず、工場・構内物流から、航空・海上輸送、陸上輸送、センター物流まで事業の幅を広げ、フルスペックの機能を持つ総合物流会社としての体制を整えた。積極的なM&Aは倉庫業界3位が指定席だった同社をトップに押し上げる原動力になった。ただ、名実ともリーディングカンパニーとして地歩を確立するためには、利益率向上や積み上がった有利子負債の圧縮など課題が山積している。

700億円を投じてM&Aによる拡大路線を推進

三井倉庫HD本社(東京・西新橋)

「積極的なM&Aで新たな物流機能や多様な人材を獲得する」。こんな掛け声とともに、三井倉庫HDは2010年代初めから半ばにかけて集中的なM&Aを実施した。この間、M&A投資額は700億円に上った。倉庫業界では戦後、三菱倉庫<9301>、住友倉庫<9303>、三井倉庫の旧財閥系3社がトップ3を形成し、順位も不動だったが、こうした業界地図を塗り替えるインパクトをもたらした。

2018年3月期の売上高は前期比3.4%増の2332億円。売上高が1000億円を初めて超えたのは2012年3月期(1073億円)だが、当時、業界1位の三菱倉庫(2036億円)の約半分に過ぎなかった。ところが、4年後の2016年3月期の売上高は2130億円へほぼ倍増し、三菱倉庫(2068億円)、2位の住友倉庫(1720億円)を一気に抜いて首位に立った。M&A実行後のシナジー(相乗効果)創出という点では依然道半ばにあるが、売り上げに関してはその後もリードを徐々に広げている。

三井倉庫HDは2014年の持ち株会社制移行に伴い発足した。現在、持ち株会社の直下に、三井倉庫、三井倉庫エクスプレス、三井倉庫ロジスティクス、三井倉庫サプライチェーンソリューション、三井倉庫トランスポートの5事業会社を置く。このうち中核の三井倉庫を除く4社はいずれもM&Aによって取り込んだ会社が母体だ。

〇倉庫大手3社の業績の推移(各社:上段が売上高、下段が営業利益。単位億円)

2012 /3期2018/3期
三井倉庫HD 10732332
  6769
三菱倉庫 2036 2154
  125 124
住友倉庫 1397 1757
  96 103