日立キャピタル<8586>は総合金融会社として世界で活躍の場を広げている。リース、ファクタリング、支払い・回収代行、損害保険、信託、アウトソーシングなどの多様な金融機能を組み合わせ、金融の枠にとどまらないサービス・ソリューションを提供している。現在、営業資産残高のほぼ半分を海外事業で占める。戦略分野と位置づける自動車関連のビークルソリューション事業では欧米を中心にM&A投資を活発に展開中だ。

資本業務提携、MUFGが日立に次ぐ大株主に

日立キャピタルは日立製作所の家電販売のクレジット部門から出発した日立クレジットと、同じく日立系でリース事業を手がける日立リースが2000年に合併して誕生した。日立グループの中核的な金融会社として歩んできたが、その同社に一大エポックが訪れたのは2016年5月。

「経営統合への第一歩か」。日立製作所<6501>と三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)<8306>が金融分野で資本・業務提携することで合意したのを受け、業界関係者の間にはMUFG傘下の三菱UFJリース<8593>との経営統合への布石との観測が一時広がった。同年10月、日立が約60%保有する日立キャピタルの株式のうち、MUFGが23%、三菱UFJリースが4.2%を取得した。取得金額は1000億円超に上った。

これに伴い、日立キャピタルは日立、MUFG双方の持分法適用会社として新たな道を歩み始めることになった。日立は親会社ではなくなったものの、引き続き筆頭株主で、MUFGが第2位の大株主という構成だ。

当の日立キャピタルは三菱UFJリースに3%出資した。メーカー系、銀行系でそれぞれトップのリース会社が手を組み、業界最大手のオリックス<8591>に次ぐ2位グループの立ち位置を確保した格好となった。国内のリース取扱高はリーマンショック以降、5兆円前後で停滞しており、事業領域の拡大や海外展開の加速が求められている。国内で環境・エネルギー、都市インフラ・公共施設、不動産分野を、海外で米州やASEAN(東南アジア諸国連合)、中国などを協業領域として打ち出し、相互連携に乗り出した。

その一つである環境・エネルギー分野では2017年3月、協業第1号として、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーを対象とする投資ファンドを組成した。ファンドは最大300億円規模とし、発電容量換算で40万キロワット程度の再生可能エネルギーに投資する。

一連の提携ではもう一つの枠組みが動き出している。日本のインフラ産業の輸出を支援する金融プラットフォームを目的に、日立キャピタル、三菱UFJリース、三菱UFJ銀行の3社で設立した新会社「ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ」(JII。資本金100億円)が2017年4月に事業を開始した。英ロンドンと英仏海峡トンネル入口を結ぶ鉄道インフラ関連で約105億円、日本・グアム・豪州間の光海底ケーブル事業で約21億円を出資する2つの案件を成約し、まずは上々の滑り出しのようだ。