懸案だった出光興産<5019>との合併が、ようやく実現に向けて動き出した昭和シェル石油<5002>。長らく同族経営で大型M&Aとは無縁だった出光と違い、昭和シェル石油の成り立ちは「M&Aの歴史」そのもの。しかも同社は、ある国際石油メジャーの設立とも深く関わっている。 

出光との「世紀の大再編」に沸く

2018年6月27日、突如として状況が動いた。「昭和シェル石油と出光興産の経営統合に猛反対していた出光創業家が賛成に転じ、2019年春に実現する見通しとなった」と伝わったのだ。情報が伝わると、株式市場は直ちに反応した。昭和シェル石油株は一時20%近く値上がりし、出光興産の株価も一時10%上昇した。両社の「世紀の大合併」が株式市場でも高く評価された証拠といえるだろう。

 出光興産にとっては初の経営統合であり、それまで経験のなかった創業家が抵抗していたのも理解できる。一方、昭和シェル石油は数々の経営統合や買収を成功させてきた「M&A」のプロ。形の上では「出光興産に買収される」ことになるが、「経験値」の高い昭和シェル石油が合併後の主導権を握る可能性も十分ある。

マーカス・サミュエル氏
マーカス・サミュエル氏
(同社ホームページより)

昭和シェル石油の源流は、1876年にマーカス・サミュエル氏が設立した英貿易会社サミュエル商会の横浜支店にさかのぼる。同社は当初、陶器や漆器、雑貨を取り扱っていたが、やがて機械、綿織物、砂糖、鉄などの輸入や茶、生糸、米、木材、石炭などの輸出へとビジネスを拡大する。

大きな転機になったのは石油産業への参入だ。サミュエル商会はロスチャイルド系の石油販売会社ブニトからロシア産油の東洋市場での独占販売権を得る。