【ルネサスエレクトロニクス】撤退戦から「反撃の買収戦」に挑む

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リーマン・ショックで、NECエレとの「弱者統合」に

そこで、同期に683億5500万円の営業赤字に陥ったNECエレクトロニクスとの経営統合話が持ち上がった。NECエレクトロニクスも2002年11月にNEC本体からシステムLSIやマイコン、DRAM以外のメモリーなどを切り出して誕生した会社。任天堂<7974>の「ゲームキューブ」や「Wii」、米マイクロソフトの「Xbox 360」向けのマイコンで業績を伸ばすなど、歴史も似ていた。

2010年4月にルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスは経営統合。存続会社はNECエレクトロニクスで、社名を「ルネサス エレクトロニクス」に変更する。しかし、このM&Aで新会社の業績は好転しなかった。新生ルネサスは利益を出すために「選択と集中」を推進する。

2010年に40nm世代の先端プロセス開発から撤退。従来技術で対応可能な自動車・携帯電話向けの半導体に力を入れることにした。その結果、後に高い利益を生む最先端のSoC(1個の半導体チップ上にシステムの動作に必要な機能を実装する)やマイコンを提供できなくなった。経営不振の元凶だったはずの「薄利多売」に特化したのである。

2011年にはNTTドコモと共同で「ガラケー」とも呼ばれるフィーチャーフォン(多機能携帯電話)向けのSoCを開発。しかし、すでにスマートフォン(スマホ)の急速な普及でガラケー市場は崩壊。完全な読み違いだった。ドコモとルネサスに追随してガラケーに傾注した国産携帯電話メーカーはスマホ市場で出遅れ、撤退が相次いだ。

ガラケーからスマホへのシフトを見誤り、携帯電話メーカーを道連れに市場から撤退(写真はイメージ)

お得意様だった国産携帯電話メーカーの多くが消えたことで、ルネサスも2011年に携帯電話の送信機などに使われるパワーアンプICの後工程を担当していた小諸工場(長野県小諸市)とパワーアンプ事業を村田製作所<6981>に売却。残った資産も2013年にブロードコムに売却し、ルネサスは携帯事業から撤退する。

自動車向け半導体も、2011年3月の東日本大震災で車載システムLSIの主力拠点だった那珂工場(茨城県ひたちなか市)をはじめ8工場が操業を停止。そのあおりで自動車メーカーも生産停止に追い込まれた。こうした不運が重なり、ルネサスは事業売却を加速する。2013年には車載用以外のSoC事業から撤退。家庭用テレビゲーム機向けの半導体を生産していた鶴岡工場(山形県鶴岡市)を2014年にソニーセミコンへ売却した。

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2021/06/09

ルネサスエレクトロニクスは日立製作所、三菱電機、NECの半導体部門をルーツとするルネサス。「日の丸半導体」復活の期待を背負う同社の行方は。占星術的な観点からながめてみると。

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