【鎌倉新書】出版業から「終活企業」に大変身、M&Aで介護に戦線拡大へ

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鎌倉新書が本社を置くビル(東京・京橋)

出版業から脱皮し、「終活企業」に大変身を遂げた鎌倉新書<6184>。葬儀、お墓、仏壇、相続…。「終活ワンストップサービス」を旗印に、多種多様なポータルサイトを運用し、誰もがいずれは直面する終活への不安や悩みの解消を手助けする。終活ビジネスの戦線拡大に向けた次の一手として介護事業の買収を決めた。

仏壇・仏具の出版社としてスタート

鎌倉新書は1984年に仏壇仏具業界向け書籍の出版社としてスタートし、葬儀、お墓など供養全般に守備範囲を広げた。転機となったのはインターネットの急速な普及。出版業から、インターネットによる情報ビジネスに業態を転換したのだ。

その第一弾として2000年にサービスを開始したのが葬儀のポータルサイト「いい葬儀」。現在では日本全国約5300件の葬儀社・斎場を掲載し、希望エリアや形態、予算に合った葬儀プランを比較検討できる。専門相談員が24時間体制で電話とメールで対応し、相談件数は累計60万件以上に上る。

2003年には霊園・墓地のポータルサイト「いいお墓」、仏壇・仏具のポータルサイト「いい仏壇」をそれぞれ開始。お墓や仏壇を選ぶ際の店舗、予算、口コミなどの情報を広く提供している。例えば、「いいお墓」ではペットと一緒に入れる霊園、海が見える霊園といったこだわりの条件から検索できる。

こうしたポータルサイト事業のビジネスモデルはこうだ。顧客と葬儀社、仏壇仏具店、石材店・霊園などの取引先をマッチングし、取引が成約になった場合の手数料、サイトへの広告掲載料を収益としている。

2019年4月には相続分野に参入。死後・葬儀後の税務申告、遺産分割などにかかわる手続きをサポートする「いい相続」の運用に乗り出した。

相続、介護を取り込み「終活」全般へ

2021年1月期業績は売上高0.8%減の32億3800万円、営業利益66.8%減の2億6500万円、最終利益71.8%減の1億8000万円。新型コロナ禍の影響で上期は需要の落ち込みに見舞われたが、下期は回復基調をたどり、売上高は横ばい圏を確保し、黒字圏に踏みとどまった。

売上構成をみると、「お墓」「葬儀」「仏壇」の既存3部門と2年前に新規参入した「相続」を合わせたポータルサイト事業が92%を占める。

一方、祖業である出版部門は月刊「仏事」、年鑑類の発行やエンディング(終活)ノートの販売を手がけているが、ウエートは5%にも満たない。脱出版により、“情報加工業”に転身を果たしたといえる。

同社が今、標ぼうするのが「終活ワンストップサービス」。お墓や葬儀、仏壇などの供養領域にとどまらず、終活におけるあらゆるニーズや課題に応えようというもので、2年前には「相続」に参入した。これに続き、事業の本格展開を目論むのがほかならぬ「介護」だ。

◎鎌倉新書の業績推移(単位億円)

20/1期 21/1期 22/1期予想
売上高 32.6 32.3 40.9
営業利益 8 2.65 7.2
最終利益 6.38 1.8 5

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