【ルネサスエレクトロニクス】撤退戦から「反撃の買収戦」に挑む

alt

大型M&Aで「成長戦略」を描く

それでもルネサスの業績は回復しなかった。2010年のルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスの合併時に、母体だった日立・三菱・NECの3社から受けていた2063億円の資金援助も底をつき、2012年10月には先の3社と取引銀行から合理化資金として計970億円を調達する。

経営が行き詰まったルネサスは、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)への身売りを検討する。しかし、車載マイコンの大口顧客であるトヨタ自動車<7203>が、外資への売却で車載用半導体の安定供給が損なわれるとの懸念から反対。経済産業省が主導して、産業革新機構とトヨタ、日産自動車<7201>など9社の官民連合から1500億円の支援を受けて経営再建に取り組むことになった。

その結果、産業革新機構の持ち株比率が69.16%となり、事実上国有化される。一方、日立・三菱・NECの持ち株比率は10%未満となり、ほぼ縁は切れた。一連の経営支援と徹底したリストラで、2013年度にルネサス エレクトロニクスの発足以来、初の営業黒字を計上する。

リストラで生産拠点を絞り込んだルネサス(同社ホームページより)

経営安定化のため、ルネサスが選んだのがM&A戦略だ。2015年6月にオラクル社長からルネサスに転身した遠藤隆雄会長兼最高経営責任者(CEO)が、自動車をはじめとする産業向け半導体大手の独インフィニオン・テクノロジーズとの資本提携を模索する。だが、これに日産出身の志賀俊之産業革新機構会長や自動車業界がKKRへの身売り同様に猛反発し、遠藤CEOはわずか半年で退任。インフィニオンとの資本提携は頓挫した。

志賀産業革新機構会長の肝いりで2016年6月に日産系自動車部品メーカーのカルソニックカンセイ(現マレリ)社長や日本電産<6594>副社長を歴任した呉文精社長兼CEOが就任すると、同9月に米アナログ半導体大手インターシルの買収を発表し、2017年2月に3228億円で完全子会社化する。

2018年9月にはセンサーやコネクティビティー(相互接続性)、ワイヤレスパワー(ワイヤレス充電)を中心としたアナログ半導体製品を手がける米Integrated Device Technology, Inc.(IDT)の買収を発表し、2019年3月に7330億円で完全子会社化した。

合わせて1兆円を超える超大型M&Aを実施したにもかかわらず、明確なシナジー効果が見えなかったため、2018年からルネサスの株価が再び低迷する。

NEXT STORY

ルネサスエレクトロニクス…「日の丸半導体」の真の旗手になれるか?|ビジネスパーソンのための占星術

ルネサスエレクトロニクス…「日の丸半導体」の真の旗手になれるか?|ビジネスパーソンのための占星術

2021/06/09

ルネサスエレクトロニクスは日立製作所、三菱電機、NECの半導体部門をルーツとするルネサス。「日の丸半導体」復活の期待を背負う同社の行方は。占星術的な観点からながめてみると。

関連のM&Aニュース

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5