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東芝の2兆円買収、歴代M&Aのランキングは?

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非公開化に向けたTOBが始まった東芝(東京・芝浦)

東芝の非公開化を目的とするTOB(株式公開買い付け)が8月8日に始まった。日本のM&A史を飾るビッグディールで、金額は2兆円にのぼる。ではこの東芝案件、日本企業がかかわる歴代M&Aのトップ10のうち、何位にランキングされるのか。

歴代トップは武田のシャイアー買収

東芝に対するTOBを開始したのは国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする国内連合。JIP陣営は1株4620円で、全株式の取得を目指している。買付期間は9月20日まで。買付代金は最大1兆9999億円だ。

TOBが成立すれば、東芝は年内にも上場を廃止し、株式市場から退出する。同社がTOBを受け入れた最大の理由は経営への介入を招いた海外投資ファンドなど物言う株主を排除すことにある。株主構成を安定化し、2015年の不正会計問題に端を発した経営の混乱に終止符を打ち、成長軌道に乗せることを狙っている。

日本のM&A史をひも解くと、歴代トップは武田薬品工業が2019年にアイルランドの製薬大手シャイアーを6兆2000億円で買収した案件で、突出する。今回の東芝の2兆円買収は歴代5位に位置する。

2位~4位にはソフトバンクグループ=英半導体設計大手アームの買収(3.3兆円)、JT(日本たばこ産業)=英たばこ大手ギャラハーの買収(2.25兆円)、セブン&アイ・ホールディングス=米コンビニ大手スピードウェイの買収(2.2兆円)が続く。

東芝の本社(東京・芝浦)

東芝、もう1つあった2兆円案件

実は、ここで忘れてはならないのが東芝関連でもう1つの巨額案件。債務超過に陥った東芝は2018年、半導体メモリー子会社の東芝メモリ(現キオクシア)を米投資ファンドのベインキャピタルを中心とする日米韓連合に2兆円で売却しており、トップ10中、東芝案件が5位に2つ並ぶ形となっている。

現在は東芝の持ち分法適用関連会社であるキオクシアを巡っては、協業先の米半導体大手ウエスタンデジタル(WD)との合併話がかねて取りざたされている。

歴代トップ10(一覧表)をみると、ソフトバンクグループ(SBG、傘下のソフトバンクを含む)が2位、7位、8位にランクインする。7位の英ボーダフォン日本法人の買収(2006年)がソフトバンクの携帯電話事業参入に道を開いたのは言うまでもない。

4.2兆円売却を中止したSBG

日本のM&A史に残る破談劇を演じたのはSGB。2022年2月、英国子会社アームの売却を中止すると発表した。この1年半前の2020年9月、米半導体大手エヌビディアに4兆2000億円で売却することで合意していたが、市場での寡占などを懸念する各国競争当局の審査が難航していた。

SBGが3兆3000億円でアームを買収したのは2016年。売却が実現していれば、1兆円近い差益が見込まれていた。また、アームの売却中止がなければ、トップ10中、SBG案件が4件を占めていたことになる。当のアームは今年9月にも米ナスダック市場に上場する運びとなっている。

◎日本企業関連のM&A金額:歴代トップ10  

買い手企業 対象企業 買収金額 発表年
1 武田薬品工業 アイルランド・シャイアー 6.2兆円 2018年
中止 米エヌビディア 英アーム(ソフトバンクグループ傘下) 4.2兆円 2020年
2 ソフトバンクグループ 英アーム 3.3兆円 2016年
3 JT 英ギャラハー 2.25兆円 2006年
4 セブン&アイ・HD 米スピードウェイ 2.2兆円 2020年
5 米ベインキャピタル 東芝メモリ 2兆円 2017年
日本産業パートナーズ 東芝 2兆円 2023年
7 ソフトバンク 英ボーダフォン日本法人 1.9兆円 2006年
8 ソフトバンク 米スプリント・ネクステル 1.8兆円 2012年
9 サントリーHD 米ビーム 1.65兆円 2014年
10 ウットラムグループ(シンガポール) 日本ペイントホールディングス 1.18兆円 2020年

次点

アサヒグループHD オーストラリアCUB 1.14兆円 2019年

※HDはホールディングスの略

文:M&A Online

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