昨日の「競争相手」が今日の「提携相手」に

中部電も電力自由化の流れを受けて、M&Aに取り組む。2013年に三菱商事<8058>からPPSのダイヤモンドパワーの株式80%を取得し、子会社化したのだ。ダイヤモンドパワーは首都圏で電力供給しており、この買収で中部電は大手電力としては初めて自社の営業区域外に進出することになった。

同年に三菱商事や日本製紙<3863>と共同で、静岡県富士市にある日本製紙工場内で約250億円をかけて石炭火力発電所の新設に乗り出した。同工場は周波数50ヘルツの東電の営業区域にあり、新設の火力発電所で発電した電力はダイヤモンドパワーが買い取って首都圏への販売する。ダイヤモンドパワーの首都圏での電力供給能力を高めるのが狙いだ。

巨大な首都圏の電力需要
中部電力はダイヤモンドパワーを買収し、首都圏の巨大な電力需要を狙う(Photo by 鶴野紘之)

東電との真っ向勝負に挑んだ中部電だったが、次の合弁相手は意外にもその東電だった。2015年4月に火力発電事業の統合のためJERAを設立した。JERAは東京電力の火力発電部門である東京電力フュエル&パワー(FP)と中部電の折半出資で「対等」を強くアピールしている。本来、国内トップで9電力体制の頂点に立つ東電と、国内3位の中部電の合弁会社で「対等」はありえないはず。それがなぜ「対等」なのか。

東電は2011年3月に発生した福島第一原発事故の処理と補償で、事実上の「経営破綻」状態に。政府による公的資金が注入されて原子力損害賠償支援機構(現 原子力損害賠償・廃炉等支援機構)が大株主となり、公的管理下に置かれている。しかも廃炉処理費用や補償は当初の想定を大幅に上回る21兆円となり、東電単独での存続は難しくなっていた。政府も廃炉や補償の肩代わりに難色を示し、民間企業による救済を模索していた。その具体案として浮上したのがJERAだったのだ。