なぜ「東電救済」色の濃いJERAに参加したのか

JERAのビジネスモデルは、東電の若手グループが発案している。それは「東電が原子力部門を分社化して切り離し、火力発電会社として生き残る」というプランだった。一時は東電社内で「東電解体につながりかねない」と封印されたが、経済産業省から東電に派遣された役員が高く評価して日の目を見る。

経産省としても、さらなる公的資金注入などの国民負担なしに、東電を再生できる魅力的なプランだった。実質破綻状態の東電だけでは、JERAの安定経営はおぼつかない。何としても資金力に余裕がある中部電をJERAに引き込まなければならなかった。そのためには電力業界では考えにくかった東電と中部電の「対等での合弁事業」にする必要があったのだ。

福島第一原発の廃炉工事
福島第一原発事故処理で苦しむ東電救済策がJERAの原点だった(東電ホームページより)

JERAについて「東電解体につながりかねない」と東電首脳が懸念したのと同様、中部電側にも「福島原発処理の肩代わりなど、東電の救済を押し付けられるのではないか」との不安の声が上がっている。とはいえ、中部電は東電と組まざるを得ない事情があった。それが電力自由化による顧客争奪戦の「飛び火」である。

「震源地」は営業エリアが隣接する関西地区だった。同地区では大阪ガスが早くから発電事業に力を入れていて、電力会社以外では国内最大級の発電事業者という背景もあり、関西電力<9503>との競争は激しかった。大阪ガスは2016年4月の電力の小売り自由化を受けて、ガスと電力を同時購入すれば電気料金が関電より5%ほど安くなるプランを提供。大阪ガスは2016年度だけで、関電から39万件の顧客を奪う。

関電はこれに対抗して電気とセットで契約すればガス料金を大阪ガスより最大で8%安くなるプランで反撃。初年度目標だった20万件のスイッチングを、自由化開始からわずか4カ月で達成する。関西地区の2018年4月30日時点でのガススイッチング(供給業者の切り替え)申込件数は44万2101件と、国内最大のガス消費地である関東地区の30万3788件を約1.5倍も上回る激戦区となった。