「ネット通販離れ」が明らかに

2017年4月以降のM&Aは、以前とはかなり様相が異なっている。一言でいえば「ネット通販離れ」である。初めて本格的なM&Aを始めた2000年から2017年4月までの約17年間でネット通販(EC)関連の買収は7件あったが、2017年4月以降の1年間では0件だ。2017年4月までのEC買収も2年半に1度の頻度なので、この1年間の実績が0だからと言っても、不自然ではない。しかし、最近のM&Aは、明らかにECと一線を画している。

2018年1月から3月にかけての矢継ぎ早の損保買収は、楽天が金融ビジネスに強い関心があることを改めて浮き彫りにした。それもそのはず、楽天では主力業務であるECの楽天市場よりもクレジットカードや銀行、証券、生命保険といった金融ビジネスの方が成長しているからだ。2017年度決算では国内EC売上高は前期比25.6%増の3909億円に増加したが、営業利益は同3.8%減の746億円の増収減益に。要は「儲からない商売」になりつつあるのだ。

FY2017 売上収益と営業利益
2017年度の国内ECは増収減益に(同社決算資料より)

これは国内ネット通販で「アマゾン1強」の流れが加速しているからだ。同じネット通販サイトでも楽天市場は個々のネットショップを寄せ集めた「モール型」なのに対し、アマゾンは自社の配送センターに出店者の商品を集めて自社配送する「直販型」だ。そのため出店者と利用者のトラブルが起きた場合、楽天市場の方が問題解決に時間と手間がかかるといわれている。

たとえば商品が届かないとのクレームがあった場合、楽天は出店者に確認をしなくてはいけないし、万一にも出店者の勘違いや悪意があれば出店者に問題があるのか、顧客側が勘違いしているのか判断しにくい。一方、アマゾンは自社配送なので、出荷履歴を確認すれば自社の発送漏れなのか物流業者の配達ミスかがすぐに分かる。