2020年4月8日に「第4のキャリア(自社で通信設備を持つ移動体通信事業者)」として新規参入した楽天<4755>傘下の楽天モバイル。その初日に目玉となる料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」のサービス内容を見直した。

自社エリア外でのサービス向上に乗り出す

パートナーであるau(KDDI<9433>)回線が利用できるエリアでのデータ容量を、月2GBから同5GBと2.5倍に増量。これを使い切った後の通信速度も、128kbps(0.128Mbps)から1Mbpsと約8倍に引き上げた。料金は据え置きで、サービスの向上となる。

従来の月2GB制限は他キャリアの料金プランでも最安に近いレベル。楽天モバイルはデータ通信が使い放題となる自社サービスエリアが狭いことから、特に地方のユーザーにとっては最大のネックとされていた。

楽天モバイルは大都市圏でのユーザー獲得を優先し、自社エリアを主に東京・大阪・名古屋を中心とする人口集積地で展開してきた。政令指定都市で人口160万人の福岡市ですら、自社サービスエリアは博多駅と大濠公園の周辺に限られており、「面」ではなく「点」展開に近い状況だ

楽天モバイルの福岡市中心部でのサービスエリア。濃いピンク色が自社回線エリアになる(同社ホームページより)

楽天モバイルは大都市への優先投資により、最小の設備投資で最大の利益を目指す。が、既存の大手キャリアからは「楽天モバイルの設備投資額では通信事業は成り立たない」と指摘する声もあがっている。同社の「トラフィック(通信量)が多い大都市圏に集中投資する」は効率的と思えるが、通信事業はそう簡単ではないという。

1987年9月に一般向けの市外電話サービスをスタートした日本高速通信は、事実上の親会社だったトヨタ自動車<7203>の「全国で総トラフィックの約8割を占める東名阪だけをサービスエリアとすることで低料金を実現する」という「効率の論理」で国内通信の巨人・NTT<9432>に挑んだ。

しかし「安くても地方に電話がかけられないのは使い勝手が悪い」と、ユーザーに敬遠されて契約件数は伸びず、NTTどころか同じ新規参入通信事業者で全国展開を積極的に進めた京セラ<6971>系の第二電電(現・KDDI)、旧国鉄(現・JR各社)系の日本テレコム(現・ソフトバンク<9434>)の後塵を拝することに。赤字続きの果てに1998年12月、国際電信電話(KDD、現・KDDI)に吸収合併され解散した。