田辺三菱製薬(大阪市中央区)の子会社であるカナダのメディカゴ(ケベック市)が新型コロナウイルス用のワクチン開発の第一歩となるウイルス様粒子の作製に成功した。すでに安全性と有効性に関する非臨床試験を実施しており、順調に進めば2020年8月ごろにヒトでの臨床試験を始める予定という。

田辺三菱製薬は2013年9月に約163億円を投じてメディカゴの持ち株比率を5.8%から60%に引き上げ子会社化した。残りの40%の株式は米国フィリップモリスインターナショナルの子会社である蘭フィリップモリスインベストメンツが所有し、両社はメディカゴを合弁会社として運営している。

早期にワクチン開発にめどをつけたメディカゴとはどのような会社なのか。

植物でウイルス様粒子を作製

メディカゴは1999年にカナダのラヴァル大学(ケベック市)とカナダ農務省から技術ライセンスを取得し創業。2003年に現在のワクチンと治療用たんぱく質の研究開発に重点を移した。2008年にフィリップモリスインターナショナルからの出資を受け入れたあと、2013年に田辺三菱製薬の子会社になった。

メディカゴは遺伝子操作によって植物の細胞内にウイルス様粒子を生成させ、効率的に抽出、精製する技術を持つ。このウイルス様粒子は実際のウイルスと同じ外部構造だが、遺伝子情報を持たないためウイルスの増殖がない安全なワクチンになる。

同技術は植物がさまざまなたんぱく質を効率的に生産する力を活用したもので、従来の卵からワクチンを作る方法に比べ大量生産が可能になるほか、最大11日間という短期間の植物育成で、目的のたんぱく質を得ることができる。

この技術を用いて2009年に19日間でH1N1インフルエンザウイルスのワクチン候補を製造したほか、2012年には米国の国防機関向けに、1カ月間に1000万回分のインフルエンザワクチンを製造した実績がある。