酒類販売大手のカクヤス<7686>が昨年12月に東証2部に株式を上場後、初のM&Aを決めた。福岡県を地盤とする同業のサンノー(福岡市、大木伸社長)を5月1日付で全株式を取得し、傘下に収める。首都圏(東京都、神奈川県)と大阪府内で170カ所を超える店舗を集中展開してきたカクヤスにとって、本格的な地方進出の第一歩となる。

業務用主力のサンノーを子会社化

今回子会社化するサンノーは2005年に設立し、ホテルや飲食店、ゴルフ場、催事など業務用の酒類販売を主力とする。福岡市内の繁華街・中洲には業務用酒類小売り店舗「リカーズABC」を運営している。2019年2月期の業績は売上高21億7300万円、営業利益5400万円、当期利益7100万円。

カクヤスの狙いは明快だ。九州地方への展開の足掛かりとし、国内事業の拡大につなげることにある。

カクヤスは首都圏と大阪府内を営業エリアとし、業務用と個人向けに酒類販売を手がける。業務用センターを11カ所設置する一方、個人向けでは店舗と小型倉庫などの173カ所で店頭販売や自宅など指定場所への無料配達などを行っている。

ピンクの看板でおなじみなのが「なんでも酒や カクヤス」。都内(23区と多摩地区の一部)だけで130店舗ほどある。業務用の配達も行い、業務用センターからの出荷機能を補完する役割もこなしている。

大正10年に「カクヤス酒店」として創業

カクヤスは、1921(大正10)年に「カクヤス酒店」として東京都北区で創業して以来100年間使い続けられている。「格安」を意味するのではない。日本酒を飲むための器である四角い「角枡(かくます)」と創業者の佐藤安蔵(やすぞう)に由来する。

現在のようなディスカウント業態に本格参入したのは1990年代から。1997年には大阪府内に第1号店(吹田市江坂)をオープンした。

躍進の原動力となったのは東京23区、横浜・川崎市、大阪府内に集中出店するドミナント戦略の展開だ。コスト低減や業務の効率化を推し進めると同時に、配達の無料化や年中無休などの新機軸を次々打ち出した。

2002年に現在のカクヤスに社名変更したのに合わせ、店名も「酒 スーパーディスカウント大安」から「なんでも酒や カクヤス」に統一した。翌2003年には100店舗を達成した。

M&Aで実績を積む

M&Aについても2007年のミクリード(業務用食材)を手始めに、10年にオフィス・デポ・ジャパン(文具、事務用品)、12年に検校(日本酒・焼酎)、14年にスペースアート十番(床仕上げ工事)を、18年にはリンクフローリスト(東京都品川区)から花と酒のギフト事業を相次いで買収。このうち、ミクリードは今年3月に東証マザーズに上場した。

カクヤスは今回のサンノーの子会社化を足がかりに九州で第一歩を踏み出す。福岡市を中心にドミナント戦略を推し進めると見られ、その際、現地企業を対象とする第2、第3のM&Aも視野に入りそうだ。

◎カクヤスの業績の推移(単位は億円)

  18/3期 19/3期 20/3期予想
売上高 1100 1087 1104
営業利益 9.27 17.7 18.2
当期利益 4.34 7.45 9.46

文:M&A Online編集部