ソフトバンクグループ<9984>筆頭株主の英通信衛星スタートアップ企業のワンウェブ(OneWeb)が2020年3月27日、日本の民事再生法に当たる「破産法第11章」(チャプター11)に基づく会社更生手続きを米ニューヨーク州南部地区連邦破産裁判所へ申請した。負債総額は10億ドル(約1075億円)。

「世界のどこでも高速ネット通信」を目指したが…

同社はソフトバンクグループから19億ドル(約2040億円)の出資を受けており、発行済株式の5割近くを保有する持ち分法適用会社。ワンウェブの破綻を受けて、ソフトバンクグループの株価は同3月30日、前営業日比194円(5.00%)安の3693円に下落した。

ワンウェブはグレゴリー・セイン・ワイラー会長が2012年1月に衛星通信サービスを提供する「WorldVu Satellites Limited」として設立。一時は米ネットサービス大手のグーグル(現アルファベット)の傘下にあったが、2014年9月に同社グループを離れる。

2015年1月に現在の「ワンウェブ」へ社名変更し、同6月に英ヴァージン・グループ、米クアルコム、米コカコーラ、欧エアバスなどから5億ドル(約530億円)の調達に成功した。2016年12月にはソフトバンクグループからの出資を受けている。

ワンウェブは低軌道通信衛星経由で、世界中のどこにいても高速インターネット通信が可能なサービスの提供を目指していた。同様のサービスとしては1998年11月に米モトローラと、第二電電(現・KDDI<9433>)、京セラ<6971>など出資した日本イリジウムによる衛星携帯電話の「イリジウム」がある。2019年9月にはワンウェブとイリジウムが衛星通信事業で業務提携した。

イリジウムが通話主体でデータ通信速度は2.4Kbps(0.0024Mbps)と文字通信レベルの超低速なのに対して、ワンウェブは下り200Mbps、上り50Mbpsと最大でイリジウムの約8万3000倍もの高速大容量通信を実現している。そのため打ち上げる通信衛星の数もイリジウムが66基(当初計画では77基)なのに対して、ワンウェブは650基と10倍近い。

ワンウェブは低軌道通信衛星経由で高速大容量データ通信を可能にする(同社ホームページより)