新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大を受けて、2020年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの延期が現実味を帯びてきた。2020年3月12日にトランプ米大統領が「東京五輪を無観客で開催するよりも、1年延期した方が良い」と発言。これを受けて橋本聖子五輪相が「7月24日の開幕に向けて、安心安全な大会準備を計画通り進めている。無観客や観客人数制限などは全く考えていない」と発言するなど、日本政府は火消しに追われている。

五輪開催、日増しに危ぶまれる情勢に

しかし、同3月11日に世界保健機関(WHO)は「COVID-19がパンデミック(世界的大流行)の段階に入った」と発表。仮に日本国内でCOVID-19を抑え込めたとしても、東京五輪には爆発的な感染拡大が起きている欧州はじめ世界各国から1万1000人ものアスリートが集まる。たとえ無観客試合だとしても、選手間の感染はもちろんのこと日本国内で再び感染が拡大する懸念もある。東京五輪の開催が日増しに危ぶまれる情勢となっている。

そうなると経済的な打撃はもちろんのこと、社会の混乱も避けられない。その象徴的な案件が東京都中央区の「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」だ。晴海フラッグは東京五輪の選手村を会期終了後にリノベーション(改築)し、マンションとして分譲する。直線距離で銀座駅から約2.5km、東京駅から約3.3kmという都心に位置し、三菱地所<8802>や三井不動産<8801>をはじめ日本を代表する大手デベロッパー10社が共同開発する4145戸の超大型物件だ。

晴海フラッグの分譲予定図(同物件ホームページ)

すでに2019年夏から晴海フラッグの販売は始まっており、第1期の1次と2次で940戸が売り出され893戸が成約している。だが、晴海フラッグには難点がある。入居時期が3年後の2023年3月下旬と遅いのだ。このうえ東京五輪が1年延期されれば、引き渡しは4年後になる。

しかも1年の延期は難しいとの指摘もある。2021年8月に米オレゴン州ユージンで陸上の世界選手権が開かれるのをはじめ、すでに来年のスポーツイベントはスケジュールが確定済み。東京五輪が1年延期されると、自動的に来年の世界大会はすべて延期または中止を余儀なくされる。その影響を緩和するには、東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事が言及した「2年延期」しかない。