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【ローム】パワー半導体で大手電機メーカーとの競争激化 

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京都の本社工場

    電子部品メーカーのローム<6963>がパワー半導体事業で攻勢をかけている。2010年に世界に先駆けてシリコンよりも省エネ性の高いSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイト)を用いたパワー半導体の量産に乗り出した後、相次いでSiCの新製品を投入、着実に用途を広げてきた。2009年、2015年にドイツとアイルランドの企業2社を買収することで競争力を強め、リーダー企業としての地位を固めつつある。パワー半導体の大手である三菱電機<6503>や東芝<6502>もSiCの育成に力を入れており、今後各社の競争が激しくなりそうだ。

最大1000億円のM&A を摸索

    ロームの澤村諭社長は「最大で1000億円程度が目安」と、M&Aに関して積極的な姿勢をとる。同社は車載や産業機器向け半導体の生産能力増強に年間500億円台の設備投資を計画しており、オーガニック(内部資源活用による成長)とM&Aを両輪とした成長戦略が見えてくる。

    澤村社長は同社が持つ社会課題を解決するソリューション技術として「アナログ」「パワー」「センサー」「モバイル」の四つを挙げる。ロームが最も得意とするアナログ技術に、デジタル技術、ソフトウエア技術を融合した「アナログソリューション」。SiCを中心としたパワーデバイス技術に制御ICやモジュール技術を組み合わせた「パワーソリューション」。豊富なセンサー技術に制御技術や無線通信技術を融合した「センサソリューション」。超小型、薄型の電子部品を提供する「モバイルソリューション」の四つがそれだ。パワー半導体はその一つであり、同社の重要な戦略製品といえる。

ロームの部門別製品構成

部門製品構成
LSIアナログ、ロジック、メモリー、ASICなどのLSIの生産及びファンダリ事業
半導体素子ダイオード、トランジスタ、発光ダイオード、半導体レーザーの生産
モジュールプリントヘッド、オプティカル・モジュール、パワーモジュールの生産
その他抵抗器事業、タンタルコンデンサ事業、ライティング(照明)事業など

筋肉に当たるパワー半導体

   パワー半導体は電力の制御や供給を行う部品。CPU(中央演算処理装置)やメモリーが人間で言えば頭脳に当たるのに対し、パワー半導体は筋肉に当たる。直流電気を交流に変換するインバーター、交流電気を直流に変換するコンバーター、交流の周期を変える周波数変換、直流の電圧を変換するレギュレーターの四つの機能がある。いずれも電源供給を高速にオン、オフすることでその機能を実現する。例えばエアコンや冷蔵庫でよく使われるインバーターは、モーターへの電力の供給を高速でオン、オフすることで回転を制御する。インバーターの無い機器ではモーターをフル回転させるか、止めるかの制御のため無駄な動作が増えるが、インバーターを用いれば無駄が減らせるため省エネ化できる。


    パワー半導体は、電力を流した際に一部の電力が熱として逃げてしまう電力損失が発生する。これを改善するためにシリコンよりも、電気を通しやすく、一層の省エネ化が可能な材料としてSiCを用いた製品の開発が進んできた。ロームは2010年に世界で初めてSiCパワー半導体の量産を始め、現在は電気自動車(EV)の車載充電器や産業用機器などに採用されている。

パワー半導体 2025年には7倍に拡大

    ロームによるSiC関連のM&Aとしては同社がSiCの生産を開始する1年前の2009年に実施したドイツのSyCrystal社が第1号となる。その後2015年に買収したアイルランドのPowervation Ltd.はデジタル電源制御LSIの開発と販売を行うファブレス企業で、高精度のリアルタイム自動補正機能を持つシステム電源に関する独自技術を持つ。もともとロームはIT関連市場、自動車、産業機器市場などの市場向けに幅広いアナログ電源LSIを供給してきた。ここにPowervation社の技術が加わることで、将来の需要拡大が見込めるデータセンターサーバーや基地局など向けに、電源LSIのラインアップを一段と強化できる。さらに高精度のデジタル電源は今後、自動車などでもニーズの高まりが予測されるため、同分野での競争力が高まるものとみられる。

16ビットローパワータフマイコン


    民間の調査会社によると、パワー半導体の市場規模は2025年に2016年比約7倍の1400億円程度になる見込み。現在はサーバー用電源、無停電電源装置などの向けが多いが、次第に車載充電器やEV用の急速充電スタンドなどが増えてくる予想で、2020年以降は自動車の駆動用の需要が出てくるとみる。こうした背景のもと、SiCメーカーは開発に力を入れてきた。三菱電機は2017年9月にSiCを用いたパワー半導体で電力損失が世界最小の素子を開発した。自動車や家電製品、鉄道車両など向けに2020年度以降の実用化を目指すという。東芝も2017年9月にSiCの省エネを一層進めることができる新技術を開発。今後耐久性などの試験を行い、2020年以降に実用化を目指すという。ロームは2017年4月に大電流に対応したSiCを開発。産業機器用電源や太陽光発電などの分野でより大電力用途を開拓する。今後こうした開発競争がし烈化するとともに、先進的な技術を持つ企業の買収なども表面化してきそうだ。

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