国内において有線放送首位のUSEN<4842>と、そこから分離独立した動画見放題サービス提供のU-NEXT<9418>。2017年中に経営統合を予定する両社のこれまでを振り返りたい。
USENは日本全国で音楽配信事業、業務用システム事業、ICT事業、その他事業を展開する企業である。1961年6月に創業社長の宇野元忠氏のもと大阪有線放送社として、有線の音楽放送を目的に設立された。その後、2代目社長の宇野康秀氏のもと、チャンネル数を増やしながら成長し、2001年4月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン (現:東京証券取引所JASDAQ)に上場した。
U-NEXTは2007年6月にUSENで開始されたTV向け定額制見放題動画サービスを配信する「GyaONEXT (後のU-NEXT)」事業を基として、2010年12月にUSENから分離独立して設立された会社である。2014年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2015年12月に東京証券取引所の市場第一部へ上場市場を変更している。
USEN社長の田村公正氏は、1994年3月にUSENに入社し、東東京支社長、営業本部長、執行役員を経て、生え抜きで2013年11月に社長に就任している。
U-NEXT社長兼USEN会長の宇野康秀氏は1988年4月にリクルートコスモス(現 コスモスイニシア)に入社。1989年6月に独立してインテリジェンスを設立し、社長に就任した。
1998年7月に急逝した父・宇野元忠氏の後を継ぐためインテリジェンスの社長を退任し、大阪有線放送(現USEN)社長に就任。 その後2010年12月にUSENの会長としては残りつつ、U-NEXTを設立、社長に就任し現在に至る。
USENの大株主は下表のとおりである。株式公開買付け(TOB)前において、USENの株式は元社長で現会長である宇野康秀氏個人が30%超を保有しており、2009年に第三者割当増資の多くを引き受けた光通信が2位株主となっていた。
表1:USENの上位株主
保有者名 | 所有株式数(株) | 持ち株比率(%) |
---|---|---|
宇野 康秀 | 63,400,502 | 30.61 |
光通信 | 37,409,460 | 18.06 |
ジーエス・ティーケー・ホールディングス・ツー合同会社 | 24,509,810 | 11.83 |
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) | 5,278,800 | 2.55 |
インフォサービス | 4,146,300 | 2 |
USEN従業員持株会 | 2,599,210 | 1.25 |
日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) | 2,535,900 | 1.22 |
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 1,779,040 | 0.86 |
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505044 | 1,173,508 | 0.57 |
資産管理サービス信託銀行(証券投資信託口) | 1,155,200 | 0.56 |
計 | 143,987,730 | 69.51 |
2016年8月末時点。有価証券報告書に基づきM&AOnline編集部作成
なおU-NEXTのSPC(特別目的会社)によるUSEN株式の公開買い付け後の2017年3月29日時点においては、U-NEXT SPC1が1,078,258株(52.33%)を保有し1位となり、宇野康秀氏は保有株数・シェアともにそのままの2位に、一部売却した光通信が80,291株(3.9%)の3位株主となっている。
一方のU-NEXTの大株主は下表のとおり。U-NEXTにおいては、社長である宇野氏の資産管理会社(UNO-HOLDINGS)がいまだ64%以上を保有している。
表2:U-NEXTの上位株主
保有者名 | 所有株式数(株) | 持ち株比率(%) |
---|---|---|
UNO-HOLDINGS | 10,530,000 | 64.11 |
光通信 | 982,000 | 5.98 |
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) | 531,300 | 3.23 |
U-NEXT社員持株会 | 119,100 | 0.73 |
CHASE MANHATTAN BANK | 114,700 | 0.7 |
NOMURA PB NOMINEES | 100,400 | 0.61 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 98,300 | 0.6 |
楽天証券 | 74,600 | 0.45 |
マネックス証券 | 67,810 | 0.41 |
GMOクリック証券 | 64,300 | 0.39 |
計 | 12,682,510 | 77.21 |
2016年12月末時点。有価証券報告書に基づきM&AOnline編集部作成