エムティーアイ<9438>はフィーチャーフォン(従来型携帯電話)の黎明期から「music.jp」や「ルナルナ」等のコンテンツ配信を行っており、モバイル端末向けのコンテンツ配信会社としては有料会員数で国内最大規模を誇る企業である。また昨今はヘルスケアサービスにも注力をしている。創業して20年ほどの若い会社だが、成長を遂げた背景には、屋台骨を支えたとも言えるM&A戦略がある。

【企業概要】時流に乗り、業態を変化させる

エムティーアイは1996年8月に、創業者で現在も社長の前多俊宏氏のもと設立された。下図に見るように、当初は携帯電話の販売やコンテンツ配信などを多角的に行っていたが、やがてモバイル・コンテンツサービスに特化するようになり、2011年頃からスマートフォン向けサービスを本格展開するようになる。まさに、時流に乗って事業の選択と集中を進め、業態を変化させつつ成長してきた会社ということができる。

株式の公開に関しては、1999年10月に店頭登録し、2004年にジャスダックに上場した。そして2015年には、東証一部に市場変更している。

東証 ヘルスケア関連銘柄合同IRセミナー説明資料(同社ホームページ)より

【役員陣】創業者の人脈の広さを窺わせる構成

創業者の前多俊宏社長は千葉大学工学部を卒業後の1987年4月に日本アイ・ビー・エムに入社。2年経たずして1988年12月に設立間もない光通信に転職し、1989年8月に取締役、1990年7月に常務取締役となり、1996年2月の店頭登録を見届けた後、1996年8月にエムティーアイを設立し、代表取締役社長に就任している。52歳。

他の役員陣は下記のとおり。多種多様な経歴の持ち主が多く、創業者の人脈の広さを窺わせる構成だ。創業後の社歴が浅いこともあり、新卒で同社に入社して役員になったような、いわゆる生え抜き的な役員はいない。ちなみに取締役副社長の泉博史氏と前多俊宏氏は、日本アイ・ビー・エムの同期入社である。

職名 氏名 年齢
代表取締役社長 前多俊宏 52歳
取締役副社長 ライフ事業本部長兼デジタルコンテンツ事業本部長兼ソリューション事業部担当 泉博史 52歳
専務取締役 ヘルスケア事業本部長 清水義博 61歳
常務取締役 コーポレート・サポート本部長 大沢克徳 55歳
常務取締役 IR室・事業アライアンス担当 松本博 47歳

2016年9月末時点、有価証券報告書に基づき作成

【大株主】社長とその資産管理会社で4割を保有

創業者である前多俊宏社長が現在も筆頭株主であり、社長の資産管理会社ケイ・エム・シーが第2位株主となっている。両者を合わせると、持株比率は39.47%である。

そのほかの上位株主も、社長の前職である光通信、その子会社であるインフォサービスと続いている。また、大株主には金融機関もあるが、事業会社としてメディパルホールディングス、昭文社が名を連ねている。これらの事業会社は、いずれも業務提携先である。全体を見渡してみると、主要な株主も前多俊宏社長の関係先で占められていることを感じさせる。

氏名又は名称 所有株式数(株) 持ち株比率(%)
前多 俊宏 11,856,400 0.21
株式会社ケイ・エム・シー 10,096,000 18.15%
株式会社光通信 5,774,700 10.38%
株式会社エムティーアイ 4,925,228
株式会社インフォサービス 3,753,800 6.75%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 1,266,500 2.28%
株式会社メディパルホールディングス 1,150,000 0.02
株式会社昭文社 672,000 1.21%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 550,900 0.99%
CREDIT SUISSE SECURITIES (USA) LLC SPCL. FOR EXCL. BEN 548,400 0.99%
40,593,928 56.24

2016年9月末時点、有価証券報告書に基づき作成