「カテーテル」からの脱却は図れるか!

  テルモ<4543>は現在国内最大手の医療機器の製造・販売会社である。売上規模は約5,250億円。体温計の国産化から始まった同社は、現在、中国をはじめとしたアジア地域やヨーロッパ、中東、アフリカ、南北アメリカ等世界中に拠点を持つ。2017年3月末現在、米国のテルモアメリカスホールディング社、欧州ベルギーのテルモヨーロッパ社など、96社の連結対象子会社がある先端医療のデバイスメーカーである。

【企業概要】体温計、注射針からカテーテルへ

 テルモの設立は体温計の国産化に始まる。1921年、北里柴三郎博士をはじめとした医学者が発起人となり、優秀な体温計の国産化を目指して「赤線検温器株式会社」を設立。1955年には同社の体温計が国内生産量の30%を占めるようになり、第1位となる。ちなみにテルモの社名は、ドイツ語で体温計(テルモメーター)を意味することに由来している。

 テルモはその後、医療の安全性を高めるために、日本で初めての使い切り注射針を発売する。1970年代からはアメリカやベルギー等に海外支社を設立し、海外に進出するようになった。さらに1980年代からは世界初の中空糸型人工肺開発や高性能カテーテルの開発等、先端医療分野へも進出していく。そして2000年以降は、医療を通じてグローバルに貢献できる企業を標榜して成長を続けている。

 現在では、カテーテル治療と心臓血管外科手術における製品開発を行う「心臓血管カンパニー」、医療機器や医薬品をシステムで提案する「ホスピタルカンパニー」、血液・細胞治療の発展に寄与する「血液システムカンパニー」の3つを中心事業として掲げている。最近では2015年に世界初の心不全治療用の再生医療等製品として製造販売承認を取得した、ヒト(自己)骨格筋由来細胞シートを発売し、順調に成長を続けている。

【経営陣】佐藤 慎次郎氏の新体制に

 テルモの現社長は2017年4月に就任した佐藤慎次郎氏。1984年東大卒業後、東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)に入社。2004年にテルモに入社し、2014年に取締役上席執行役員、2015年取締役常務執行役員を経て現職。ちなみに、同時期に同社中国地域代表取締役専務執行役員の三村孝仁氏が代表取締役会長に就任し、新体制で経営の舵をとる。

【株主構成】オリンパスが事業戦略上、重要な存在

  テルモの株主構成は1位が日本マスタートラスト信託銀行で11.5%。2位以下も5位までが金融機関(生命保険会社含む)で占められる。

 6位のオリンパスとテルモは、2001年に医療機器開発に関する包括的業務提携を締結し、2006年にはオリンパスと共同事業を設立した。その後、2012年のオリンパス粉飾決算事件の時にはオリンパスに対して500億円の資本提携と経営統合を提案。同時に、第三者割当に係る有価証券届出等の虚偽記載に伴う損害賠償請求を行っている。テルモにとってオリンパスは事業戦略上、重要な存在であると言える。

表1:テルモの大株主

大株主保有株式数(千株) 保有株式割合(%) 保有時価(百万円)
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 43,820 11.5 193,687.40
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 25,417 6.7 112,843.90
第一生命保険(株) 20,259 5.3 89,264.60
明治安田生命保険相互会社 13,568 3.6 60,632.60
ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー9,660 2.5 42,105.90
オリンパス(株) 9,430 2.5 42,105.90
(株)みずほ銀行 9,215 2.4 40,421.70
(公財)テルモ科学技術振興財団 7,360 1.9 32,000.50
資産管理サービス信託銀行(証券投資信託口) 6,930 1.8 30,316.30
大日本印刷(株) 6,063 1.6 26,947.80

テルモ有価証券報告書を基に作成