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【アインファーマシーズ】ピンチをチャンスに変える鮮やかなM&A
臨床検査受託からドラッグストア、調剤薬局へ。M&Aで経営危機を乗り切り、大企業の資金と信用を味方につけてピンチをチャンスに変えた、アインファーマシーズの事業戦略とは?
資生堂<4911>は連結売上高8,503億円、日本国内の化粧品事業でトップの売上高を誇る企業である。連結の売上高での業界1位は花王だが、その化粧品事業(花王でいうところのビューティーケア事業)自体の売上高は6,016億円。まさに資生堂が化粧品業界のトップ企業である。創業140年超の老舗はどんなM&A戦略をとってきたのか。
資生堂は1872年、東京・銀座で日本初の洋風調剤薬局として創業した。1888年に日本初の練り歯磨「福原衛生歯磨石鹸」を発売し、1897年に「オイデルミン」の発売で化粧品業界へ進出。現在も「美しい生活文化の創造」を企業使命に掲げ、顧客の美と健康に関わる事業を展開する。
資生堂は現在、2014年に策定した中長期計画「VISION2020」に基づき成長を目指す。ところが、この「VISION2020」において、資生堂は冒頭から、「これまで培ってきた研究開発・技術力やグローバルな事業展開力、化粧文化や美の提案力等の強みを十分活かすことができなかった現実を直視し…」と反省ムードである。
社長は海外経験が豊富な魚谷雅彦氏。奈良県出身。同志社大学卒業後、ライオン歯磨(現:ライオン)に入社。 2013年4月には資生堂マーケティング統括顧問に就任。豊富なマーケティングにおける実務能力と強いリーダーシップが買われ、2014年に同社としては初めて外部出身者として社長に就任した。役員には魚谷氏のほか、岩井 恒彦氏(代表取締役執副社長)、青木 淳氏(常務)がいる。
株主構成は下表のとおり。日本マスタートラスト信託銀行の8.52%を筆頭に、みずほ銀行5.3%、日本トラスティ・サービス信託銀行の4.33%と続き、5位には自社持株会が名を連ねる。上位10位に個人名はなく、設立から150年近くが経つだけあり、オーナー企業の色はない。広く社会に開かれた企業といった印象だ。
株主名称 | 保有株式数(千株) | 保有株式割合(%) | 保有時価(百万円) |
---|---|---|---|
日本マスタートラスト信託銀行 | 34,085 | 8.52 | 126,675 |
(株)みずほ銀行 | 21,226 | 5.30 | 78,800 |
日本トラスティ・サービス信託銀行 | 17,354 | 4.33 | 64,378 |
ビーエヌワイエムトリーテイーデイテイテイ15 | 9,590 | 2.39 | 35,535 |
資生堂従業員持株会 | 7,419 | 1.85 | 27,506 |
JPモルガンチェースバンク | 7,390 | 1.84 | 27,357 |
損害保険ジャパン日本興亜(株) | 5,934 | 1.48 | 22,005 |
日本生命保険相互会社 | 5,615 | 1.40 | 20,815 |
三井住友海上火災保険(株) | 5,600 | 1.40 | 20,815 |
ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー | 5,508 | 1.37 | 20,369 |
有価証券報告書を基にM&AOnline編集部作成
臨床検査受託からドラッグストア、調剤薬局へ。M&Aで経営危機を乗り切り、大企業の資金と信用を味方につけてピンチをチャンスに変えた、アインファーマシーズの事業戦略とは?