2017年の大型M&Aをふりかえると、ソフトバンクのように新規の事業分野に積極的に進出するための出資から、頭打ちの既存事業を抱え地理的拡大あるいは事業方法の変更を図るための合併、一方では高すぎる買物との危惧を抱かれた買収まで、多彩な顔ぶれとなった。

2017年もあとわずか。今年発表された高額案件のIN-OUT型M&Aをピックアップしてみたい。

1.M&Aだけじゃない!出資しまくりのソフトバンクグループ 

ソフトバンクグループ<9984>は、新規の事業分野に積極的に進出するための出資攻勢を強めている。

・米フォートレス・インベストメント・グループを買収(2017年2月)

ソフトバンクグループは共同投資家とともに、米投資会社の フォートレス・インベストメント・グループを約33億米ドル(約3752億円)で買収。フォートレスは2016年9月30日時点で701億米ドルの運用資産を有する、世界有数の投資ファームだ。同グループの出資額は数百億円とみられるが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドと合わせれば運用額は20兆円規模となり、自社の負担を抑えて巨大なファンドをつくり上げることになる。フォートレスの経営陣は、継続して経営を行い、同社のリーダーシップ、ビジネスモデル、ブランド、人員、業務プロセス、企業文化を維持していくという。

・中国の配車大手、滴滴出行へ出資(4月)

中国配車アプリ最大手の滴滴出行が55億ドル(約6000億円)を資金調達を実施。そのうちソフトバンクは約50億ドル(約5650億円)と最大の出資者となる。残りは中国や外国のIT大手も含まれるという。同社はソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じて出資する見通しだ。 

滴滴は2012年創業、米同業のウーバー・テクノロジーズの中国事業を買収し、タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで中国首位に立つ。4億人以上の利用者の走行情報を利用し、交通分野のビッグデータを収集している。最短ルートの提供にとどまらず、地方政府などと組んで道路混雑緩和につながる仕組みの構築なども進めている。

滴滴はAIなどの開発を進めて自動運転などの基盤提供をもめざす。調達した資金の多くはAIやビッグデータ解析などに投じる模様だが、海外進出にも意欲を示しており、買収に使われる可能性もある。ソフトバンクはIoT分野に照準を定めており、今回の資金調達を通じ中国に布石を打つ。

ソフトバンクグループ「2018年3月期 第1四半期 決算説明会プレゼンテーション資料」より

・米ウィーワーク(WeWork)へ追加出資(8月)

ソフトバンクグループは、米オフィスシェア大手の非公開企業ウィーワーク(WeWork)に30億ドル(約3300億円)を追加出資すると発表。同社は今年に入って同社へ既に約14億ドルの出資を決定、7月には日本で合弁会社を設立し、オフィスシェア事業に参入すると発表していた。今回の合意でソフトバンクの出資総額は約44億ドルになる。出資金の一部はソフトバンク・ビジョン・ファンドが拠出する。

ウィーワークは、2010年にニューヨーク市で設立、米国で共用オフィスの利用を広める先駆けとなった。短期間契約で設備の整ったクールなオフィス環境を提供する会員向けサービスで、スタートアップ企業や個人事業者を中心に利用が定着し、大手企業の利用も増えている。いわば不動産転貸業で、不動産を細切れにし、オンデマンドで貸していくやりかただ。

中国、フランス、ドイツなどの主要都市でもコワーキングスペースを提供しており、個人・法人会員数は約18万人。いわゆるユニコーン企業として世界的に注目を集めている企業だ。

ソフトバンクグループ「2018年3月期 第2四半期 決算説明会プレゼンテーション資料」71ページより
時期出資先出資額
2月米フォートレス・インベストメント・グループ約3752億円
4月中国・滴滴出行約5650億円
8月米ウィーワーク(WeWork)約3300億円