M&Aが活発な業界のひとつ 経営基盤の強化は各社共通の課題に

 警備業者の業務は、オフィスビルの「守衛」から「交通誘導」、建物にセンサーを設置し、異変を察知したら警備員が駆けつける「機械警備」まで幅広い。警備業者の9割以上は常駐・巡回警備や交通誘導を手がける。

 警備業界はM&Aが活発な業界のひとつである。とりわけ、インフラ整備など大がかりな設備投資が求められ、スケールメリットを享受しやすい機械警備が主流になるにつれ、M&Aに乗り出す企業が続出している。

 業界最大手のセコム<9735>はもともと、M&Aに積極的な企業として知られ、合併・吸収を通じて事業領域を拡大してきた。2012年にはセコムが防災品メーカーのニッタンを子会社化し、防災事業を展開。同年、綜合警備保障は防災機器大手であるホーチキへの出資比率を引き上げ、関係を強化すると共に、商品の共同開発などを手がける。防犯意識の高まりなど心理的ニーズが増える一方で、事業法人向けの伸びは鈍化するなど懸念もあり、グループ化による経営基盤の強化は重要課題とされる。

図:警備業者の売上高

警備業者の売上高推移(単位:億円)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
31,304 32,675 31,988 32,662 33,391 33,547 34,237

出典:警察庁『警備業の概況』

異業種からの参入、異業種への進出も活発に

 異業種から警備業に参入する大企業も増えている。現金輸送の警備を主力とするアサヒセキュリティはもともとダイエー<8263>の店舗売上金を運搬する子会社として設立されたが、MBOによる独立を経て、豊田自動織機<6201>の全額出資子会社となり、手広くビジネスを展開している。異業種から参入の大半は雇用対策の一環であるが、親会社への依存を脱却し、グループ外の契約獲得を目指して積極的な事業拡大を図る企業も見受けられる。

 セコムや綜合警備保障(ALSOK)<2331>といった業界大手・準大手がM&Aや業務提携を通じて、異業種に乗り出す動きも盛んだ。セコムは1998年に中堅損害保険会社を買収し、保険事業に進出。ほかにもメディカル事業から防災、不動産に至るまで全方位的に家庭生活全般を支援する複合サービスを展開している。

 一方、綜合警備保障は2013年2月、在宅介護や有料老人ホーム事業などを展開するツクイ<2398>との業務提携を発表。同年4月より介護とセキュリティのノウハウを融合した救急対応サービスをスタートさせている。 

 中小企業にとって、多大な初期投資が必要な機械警備は手を出しづらく、後継者不足などから廃業を余儀なくされるケースも後を絶たない。こうした企業を大手企業がM&Aを通じて、傘下におさめる事例も多い。経営の安定はもちろん、経験豊かな人材を確保できるという魅力も捨てがたい。今後、M&Aによる大企業の多角化、中小企業の統廃合はますます進むことだろう。

M&A情報誌「SMART 2013年秋号」の記事を基に再構成しております
まとめ:M&A Online編集部